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人と住まいの構造2

もうひとつ大切なことがあるんだ。それは建物全体の重量のバランスと壁量のバランス(剛性のバランス)だよ。例えば、電車に乗っているときのことを想像してみよう。電車に乗っていると、ときたま強く揺れるときがある、そんなとき、思わず片足のかかとを踏ん張ったり、ひざを曲げたりするよね。何でそんなふうにするかというと、重量の中心(重心)を下にすることによって、体全体の強さの中心(剛心)の位置と揃えることになり、より安定するんだ。僕たち人間の場合は動物だから揺れの具合に合わせてそんなふうに力を逃がすことができるけれど、建物はそんな調子にはいかないんだ。このとき、揺れを受け流していたり、耐えているのは体の各部分だよね。建物のこれにあたるのが骨組み、すなわち構造体なんだ。建物は自由自在に動くことができないから重心と構造体の強さの中心(剛心)の位置にズレが大きいほど危険なんだ。今、話題となっている耐震診断の中身はまさにこういうことなんだ。建物の現況を調査の上、構造計算を実施してみる、その上で弱い箇所を探すんだ。

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