神話とドラゴンと龍
西洋のドラゴン・東洋の龍
この二つは同意語であるようにされていますが、それは似たようなものを当てはめただけであって、本来は違う生き物です。
ここでは、その違いを習慣を含めて解説します。
東西の比較
西洋(ドラゴン)
翼 | あり |
姿 | トカゲ(もしくは恐竜)に近い |
胴 | 短い |
住処 | 地上(洞窟など) |
印象 | 邪悪な悪魔 |
その他 | ・ドラゴンの血には魔力が宿っているらしい 。 ・火を吹き空を飛び回る |
東洋(龍)
翼 | なし |
姿 | 蛇に近い |
胴 | 長い |
住処 | 天空 |
印象 | 大地と水を司る神 |
その他 | ・願いを叶える力をもつ「如意宝珠」という玉を持っている ・雲をまとい洪水を起こす |
西洋では一神教なのでドラゴンは悪魔の使いとなっており、悪魔の羽が生えている姿で描かれることが多いです。
物語では、財宝が貯めてある洞穴を守り英雄に倒される傾向にあります。
「ニーベルンゲンの歌」というドイツの英雄叙事詩に登場するジークフリートが、ドラゴンの血を浴びて不死になったという話も残っています。
東洋では多神教なので、ドラゴンは神様の内の一つでしかありません。水や雨を司る為、蛇の姿から進化した姿で描かれています。
昔は翼があるように描かれていましたが、「翼が無くても龍は神聖な霊獣だから飛べる」と解釈され描かれなくなり、代わりに火を吹いて飛ぶとされた、という説もあります。
中国神話では世界や人間、といったものを創造したのは龍神の女渦と伏義であったといいます。人面竜身であったとされ、二人がその竜身をからみ合わせて 立っている姿が良く見られます。中国ではそれほど龍が神聖な生き物であったと考えられます。
言葉のあれこれ
逆鱗に触れる【げきりんいふれる】
意味:
他人の触ってはならない場所に触れること。また、目上の人の人を激しく怒らせてしまうことのたとえ。
由来:
「逆鱗」とは龍の顎(あご)その下に逆さに生えた鱗(うろこ)のことです。
人がこれに触れると、龍が怒ってその人を殺すという伝説があったことから由来しています。本来は天子を怒らせることをいいました。
登竜門【とうりゅうもん】
意味:
出世の糸口となる関門のたとえ。また、乗り越えなければならない難しい関門のこと。
由来:
中国の黄河上流にあるにある急な「竜門」と呼ばれる難所を、鯉が登ることができれば龍になるという伝説が由来しています。
画竜点睛【がりょうてんせい】
意味:
物事を完成させるため、最後の重要な部分を付け加えること。最後の大事な仕上げ。また、ほんの少し手を加えることで全体が引き立つこと。
由来:
絵に描いた龍が最後に睛(ひとみ)を入れたら、たちまち雲に乗って天に飛び去ったという故事が由来しています。
海千山千【うみせんやません】(または海千河千)
意味:
人生経験が豊富で、世の中の裏も表も知っていて抜け目がないことのたとえ。また、そのようなしたたかな人。
由来:
海に千年、山に千年生きた大蛇は、龍に変化するという伝説から由来しています。