ギリシャ神話と花言葉
花言葉のいわれと神話
続いて花言葉と神話の関係です。花には隠れた意味があり、密やかに語りかけてくるものです。
その花の声にそっと耳を傾けてみてください。
愛を囁く花言葉
アイリス
【英名:Iris 科名:アヤメ科 原産:南ヨーロッパ、北アフリカ】
恋のメッセージ、雄弁、変わりやすい、吉報、消息、あなたを大切にします
由来:
アイリスはギリシャ語で「虹」のことを言います。
美しい侍女イリスは、全知全能の神ゼウスの求愛を受けて困っていました。
そこでイリスはゼウスの妻ヘラに「遠くに行かせてほしい」と頼みました。
そして七色に輝く首飾りをかけて、神の酒を3滴頭上に振り掛けられ、虹の女神に変えてもらいました。
その酒の滴が地上に落ちたときに生まれたのがアイリスの花と言われています。
イリスは愛の神エロスの母でもあります。花言葉「恋のメッセージ」は虹の女神イリスが天上と地上を結ぶ役割を担ったことから生まれました。
古代エジプトでは、アイリスの花弁は信仰・知恵・勇気の象徴とされ、あがめられていました。
「アイリスの葉は剣、ユリは騎士の花」と言われています。
カーネーション
【英名:Carnation 科名:ナデシコ科 原産:南ヨーロッパ、西アジア】
ピンク…あなたを熱愛します 赤…母の愛 白…私の愛情は生きています 黄…軽蔑
由来:
古代ローマに美しいソニクスという女性がいました。
彼女はカーネーションの冠を作り、いつも太陽神アポロンの祭壇を美しく飾っていました。
しかし彼女を妬む者に殺害され、太陽神アポロンが彼女の姿を虹色のカーネーションに変えて弔ったということです。
他にも、16世紀に詩人スペンサーがこの花をコロネーション(花冠)と呼んだことによるとも言います。
カーネーションといえば「母の日」に贈る花として知られています。
1907年にアメリカでクリスチャンの女性が、母の命日に白いカーネーションを教会で信者に配ったことが始まりです。
バラ
【英名:Rose 科名:バラ科 原産:西アジア】
ピンク…一時の感銘 赤…愛情、情熱 黄…薄れた愛情、嫉妬 白…私はあなたにふさわしい、純潔
由来:
愛と美の女神アフロディーテが生まれたときに大地が生み出した花だといわれています。
バラの完璧な美しさを見た神々は、神の酒を注いでその美しさを褒め称えたそうです。
このことから、バラはアフロディーテの花とされることとなりました。
また、「古今集」には薔薇(そうび)が詠われており、鑑賞に供されました。
中国では「四季花のある」ことから、長春花(ちょうしゅんか)と呼ばれています。
スミレ
【英名:Violet 科名:スミレ科 原産:ヨーロッパ、南アフリカ、東南アジア、中国、日本、北米、南米】
黄…つつましい幸福 白…無邪気、無邪気な愛 紫…誠実、愛
由来:
ギリシャ神話のエピソードです。
全知全能の神ゼウスに愛された巫女イオは、ゼウスの妻であるヘラに嫉妬され、白い牛に変えられました。
イオが食べる草が周りに生えていなかったので、ゼウスがスミレを生み出しました。
ギリシャ人はこの花をイオンと呼び、ニンフはイオンをゼウスに捧げました。
悲恋の儚い花言葉
アネモネ
【英名:Anemone 科名:キンポウゲ科 原産:地中海沿岸】
はかない恋、恋の苦しみ、薄れゆく希望、嫉妬のための無実の犠牲
由来:
悲しい恋の花言葉、「はかない恋」「恋の苦しみ」にまつわるお話です。
美の女神アフロディーテが、息子であるキューピッドに誤って愛の矢で打たれしまい、アドニスという美少年に恋をしてしまいました。
アドニスは猟で死に、アフロディーテが悲しんでこぼした涙がアネモネになったといわれています。
ヨーロッパでは古くから妖精の花とされる、伝説とロマンに富んだ花です。
ヒヤシンス
【英名:Hyacinth 科名:ユリ科 原産:地中海沿岸】
青:不変の愛 紫:悲しい 赤:嫉妬 白:悲哀
由来:
ギリシャ神話にヒヤシンスにまつわる悲しい恋の話があります。
美少年ヒアキントスは太陽神アポロンと西風神ゼフロス2人の魅力的な神に愛されていましたが、ヒアキントスはアポロンの方に惹かれていました。
ある日アポロンとヒアキントスが円盤投げをしていたところ、それを見て嫉妬したゼフロスが強い西風を吹きました。
アポロンの投げた円盤はヒアキントスの額にぶつかり、額が割れて血が流れました。
アポロンは「私が替わりに死にたい。アイ、アイ(悲しい、悲しい)」とヒアキントスを抱いて叫びました。
すると血に染まった草花から、一本の紫色のヒヤシンスの花が咲いたということです。
ギリシャ語で「アイ」とは悲哀を表す言葉「アエイ」に似ているので、ヒヤシンスの花は悲哀と思い出を表します。
そして花言葉「ゲーム」「私は悲しい」が生まれました。
ジギタリス
【英名:Digitalis 科名:ゴマノハグサ科 原産:ヨーロッパ】
熱愛、不誠実、隠されぬ恋
由来:
全知全能の神ゼウスが、妻ヘラと夫婦喧嘩をしたときに怒って投げたサイコロが地上に落ち、ジギタリスの花が咲きました。
このギリシャ神話より「不誠実」という花言葉となりました。
スイセン
【英名:Narcissus 科名:ヒガンバナ科 原産:南ヨーロッパ】
うぬぼれ、自己愛、自尊心、気高さ、愛をもう一度
由来:
ギリシャの青年ナルキッソスは、美しい容姿から乙女達の心をとりこにしました。
しかし彼は決して自分から人を愛さなかったのです。
ニンフ・エコーが働けなくなるほど彼を愛しましたが、相変わらず冷たい態度でした。
これを見て怒った復讐の女神ネメシスは「人を愛せない者は自分自身を愛するがいい」と呪いをかけたのです。
ナルキッソスは水面に映った自分自身に恋をし、食事も出来ずに痩せ細り、白いスイセンになりました。
この話から花言葉「うぬぼれ」「自己愛」が生まれたのです。