災害の記憶 ‐現状



 日本は本当に台風災害に強くなったのか
最近の日本では、「昭和の三大台風」ほどの大規模な災害が台風によって引き起こされることはなくなりました。その大きな理由の1つとして、日本全国で積み重ねられてきた防災対策にあると言えます。現代において、過去の大災害に匹敵するほど多数の人命が台風災害によって失われることは、確かに考えにくい状況です。とはいえ、日本は本当に台風災害に強くなったと、どこまで信じてよいものでしょうか。

実は、昭和の三大台風に匹敵するほどに強大な台風は40年以上の間、沖縄などの離島を除けば日本列島には接近していません。つまり、以前の台風によって引き起こされていた大災害は、防災体制が未整備であったことが最大の理由であったとしても、そもそも台風自体が強大だったことも原因の一つに考えられるのです。「では最近の台風が弱くなったか」という問いに「はい」とは答えられないが、最近の日本には非常に強大な台風が接近していない、あるいは逆に1930年代の半ば〜1950年代には異様に多かったというのは確かです。


          
                    
室戸台風による被害

すでに地震災害に関しては、「日本は地震に強くなった」という漠然とした安心感を、1995年の阪神・淡路大震災が打ち砕いてしまいました。近年は確かに台風災害の規模が小さくなってきてはいますが、それは単に最近は強大な台風が接近していないため、とも言えます。「日本は台風に強くなった」と果たしてどこまで言えるのか、過去の強大な台風に匹敵するような台風が日本にやってきた時に、それが試されることになります。



                    

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