狂犬病

病原体:
狂犬病ウイルス(rabies virus)ラブドウイルス科リッサウイルス属
狂犬病ウイルスを持っているイヌ、ネコなどの野生動物に咬まれたり、
引っ掻かれたりしてできた傷口からウイルスが侵入するなどして引き起こる
人獣共通感染症です。

感染経路
犬から感染することが多いので「犬」の名がついていますが、他の動物から感染することもあります。
たとえば、アメリカでは、アライグマ・スカンク・コウモリ。
ヨーロッパでは、キツネ。
アフリカでは、イヌ・ジャッカル・マングース。
その他であれば、ネコ・馬・牛などが感染源になることもあります。
狂犬病ウイルスは神経に伝わって、脳に移り、中枢神経症状があらわれます。
脳から神経へ伝わり、唾液腺に移り、唾液中にウイルスが排出されるようになる、ということです。

潜伏期間
人の場合、一般的に
潜伏期間は
1〜3ヶ月程度ですが、
短い場合には10日から長い場合で数年になります。

症状
症状は、発熱、頭痛、全身倦怠、嘔吐などの不定症状から始まり、かまれた部分が異常感覚を起こします。
そして、筋肉の緊張、幻覚などが起きます。
液体を飲むとのどがけいれんを起こしてしまいます。
このことはとても苦しいので症状が現れると水を怖れるようになります。
このため狂犬病を
恐水病ともいいます。
犬の遠吠えのようなうなり声をあげ、大量のよだれを流し、昏睡、呼吸麻痺が起き死亡します。
日本では第二次世界大戦以後に一時的な流行がありましたが
1950年に「
狂犬病予防法」が公布された後急激に減少し、
今は全く発生していません。
しかし、2006年、フィリピンで犬に噛まれ、日本に帰国後狂犬病を発症し、
死亡したという2事例が報告されています。
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