聞こえない世界へ…



まず、何からお話しをしましょうか。

みなさんが、気になっているのは、
"なぜ私の耳が聞こえなくなってしまったのか"
ということでしょう。

私は、寒い12月、街が鮮やかに彩られた夜に生まれました。

頑固で少し手厳しい父と優しく思いやりに溢れた母の三人家族。
父と母にとって、私は大事な長女だったのです。

そして、
ごく普通な私たち家族に事件が起きたのは、私が1歳半になる少し前の事でした。

ある日突然、 私は髄膜炎(ずいまくえん)という病気にかかり、高熱を出して緊急入院をしたそうです。

私の病状はひどく、聴力障がいのおそれのある治療薬を使うことを余儀なくされたのでした。

その薬のおかげで、一命を取り留めたものの、私の耳は聞こえなくなってしまいました。


一歳半弱で聴力を失い、私には病気の記憶も音の記憶も一切ありません。
私にとっては現在のこの状態、耳の聞こえない世界がごく当たり前なのです。




      

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