手話



それから数日経ち、悠輝くんも学校に慣れた頃…
そして、彼をとりまくクラスメイトたち(特に女子)の姿もまばらになってきた頃でした。

私はいつものごとく、奈緒の席へ行き、たわいもない話をしていました。

その時…

「あの…」
悠輝くんが私たちに話しかけてきました。

そして、私たちは振り向きます。

「"坂井"と"御手洗"だよね?」

「あ…はい… 坂井ですけど…」
奈緒は対応に困っているみたいでした。

私はというと…
"私の 名前、覚えててくれたんだ。"  "この人、いい人かも。"  "少なくとも、悪い人ではないだろうな。"
そんなことを考えていました。

「いつも、見ててさ…」 "知ってるよ"

「あれってさ。手話っていうんだよね?」  "そうだよ"

「そうだよ。」
私の代わりに、奈緒が答えてくれます。

そして、悠輝くんは続けます。

「手話とか、初めて見た。っていうことはさ、御手洗って、聞こえないわけ?」

「うん。佳菜は聞こえないの。」 奈緒が答えます。

「そうなんだ…。  …なぁ、手話ってどんなものなんだ?」

そんなことを、悠輝くんは聞きました。


名前




      

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