口話



また、とある日の休み時間…

奈緒は、委員会の仕事で忙しかったので、私は一人教室で読書をしていました。
その時。

「あのさ。」
悠輝くんが話しかけてきました。

「今度さ、みんなで遊びに行こうよ。」

そう言い終えて、彼ははっとしました。
そして、きょろきょろ辺りを見回しています。

それに気づいた、クラスメートの亜美が悠輝くんに近づいてきました。
「どうしたの?」

「御手洗に話したいことがあるんだけど、俺、手話とかできないし、誰か手話ができる人に通訳頼もうと思って。
 でも、誰に頼んだらいいのか困ってたとこ。」

「そうだったんだ。」

亜美はその旨を私に教えてくれます。

"手話じゃなくても、ゆっくり話してくれれば、口の形を読めるし、難しいことなら書いてくれればいいのにね"

「そうだね。手話だけじゃなく、口話とか筆談もあるよね。」
亜美は微笑みました。

「手話じゃなきゃ、伝わらないかと思ってたよ。」
悠輝くんは驚いていました。



      

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