雑音を減らすために
とある日の掃除時間…
私のクラスでは、掃除時間、机を動かして床を掃いたりします。
そして、机を運んでいると、悠輝くんが叫びました。
「あ〜 ホース取れた…」
ホースと言いましても、水を流すために蛇口につなげているホースではありません。
私のクラスでは、ホースを5p程度の長さに切り、切り込みを入れたものを机といすの足につけ、ぞうきんを同じくらいの大きさに切ったものをまいています。
悠輝くんは尋ねます。
「なぁ、何でホースを机とかいすにつけてるんだ?」
いつものごとく、奈緒が答えてくれます。
「それはね…」
それは、騒音を少しでも減らすためです。
前項で紹介したとおり、周りがうるさいと、補聴器では聞き取りにくくなります。
聞き取りにくいだけでなく、机やいすの雑音は、補聴器を通すと、耳が痛いほどに響くのです。
そのため、ホースをまき、雑音を軽減させます。
他にも、カーペットを敷いたり、ホースではなく硬式のテニスボールを使うことで雑音を小さくすることもできます。
とある市立の小学校では、机といすの足に中古の硬式のテニスボールを取り付けることで、通常90dBもある雑音が68dBに下がったという事例もあります。
テニスボールの取り付け方は簡単で、裁ちばさみやナイフで十文字に切り込みを入れて、机やいすの足を差し込むと、切り込みが内部に食い込んで安定します。
これらは、私たち聾者だけではなく、健常者の生徒たちにもメリットになります。
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