具体例1 ブタ
私たちにとって身近な存在である「ブタ」。ブタは野生のイノシシを品種改良したことで誕生した動物です。
イノシシとブタの違い
〈イノシシの特徴〉

・毛が黒や褐色
・胴体が短め(敵から逃げるのに俊敏に動かなければいけないから)
・鼻は大きく丈夫(イノシシは地面の土を掘ってミミズや昆虫の幼虫などを食べるため、鼻を使ってかぎ分けたりスコップのようにして使う必要があったから)
・大人になるまでに約1年かかる
〈ブタの特徴〉

・毛が個体によって異なる(ピンク、白、黒など)
・胴体が長め(胴体が長いほど食べることのできる肉の量が増える)
・鼻は大きいが短い(大きいのはイノシシから受け継いだものだが、家畜化するうちに退化していった)
・大人になるまでに約半年かかる(早く成長すれば早く食用として市場に出回ることができる)
品種改良によってイノシシからブタへ
日本各地の遺跡から、イノシシの骨が出土していることから、日本では大昔の石器時代から野生のイノシシが食べられていたことがわかっています。
日本人がいつからイノシシを家畜化したかについては、はっきりとはわかっていませんが、西暦200~600年頃に、大陸から日本にやってきた渡来人が、イノシシを飼育する技術を伝えたのではないかと言われています。
どうしてイノシシはブタになったのか
人間はもともと狩猟・採集を通じて、野生のイノシシを食料にしていました。イノシシの肉はおいしかったらしく、積極的に狩られていたようです。
ですが、採りすぎると野生のイノシシの数は減ってしまいます。そこで人間は、人為的にイノシシ同士を交配させて、安定した食糧確保をしようと考えたわけです。
イノシシが雑食性で環境に適応しやすい動物であったこと、50頭ほどの群れを成して生活していることで一つの囲いの中で飼育できたことなどの理由により、人間が扱いやすかったこと、家畜化につながったのだと考えられます。
ただ、問題点もありました。ご存知の通り、イノシシは凶暴で力も強く、そのままの状態では飼いにくかったのです。
そこで人間は、おとなしいイノシシ同士を交配させて、凶暴なイノシシを手なずけていくことにしました。その過程で、長い年月を経てイノシシはブタになっていたのです。