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ディベートをしてみた

実際にゲノム編集をテーマに6人の高校生に協力して頂き、ディベートをしました

論題:出生前の段階において、ゲノム編集を用いて遺伝子を操作するのは合法化すべきか。


肯定側立論
 ・社会保障費の減少
 ・遺伝性の病気の軽減
 ・デザイナーベイビーについて
否定側立論
 ・命をお金で操作するのは倫理的に問題なのでは?
 ・命の元である受精卵を破棄するのは良くない
 ・予期せぬリスクが生じる可能性がある



*ディベートは、前のページで提示した順番と順序がずれている場合があります。
*また、相互討論を繰り返し行なっています。

立論


1つ目の論点はゲノム編集によって障害を断ち切ることができたら、医療費を削減することができます。2つ目の論点はゲノム編集によって高い確率で遺伝する遺伝性の病気を減らすことができます。3つ目の論点は、デザイナーベイビーに関しても同様に経済的な面でのメリットが倫理的な問題よりも上回ります。

まず1つ目の論点についてです。ゲノム編集には当然お金がかかります。人間がもともと持っている性質をお金を払って変えてまで生命を満たすことに果たして意味があるのかということです。
次に2つ目についてです。これは、ゲノム編集で受精卵の中で失敗したものがあった場合、それを破棄するのは倫理的に良くないのではないかということです。
最後に論点3について。ゲノム編集は遺伝子組換え技術に比べて安全性が高いなどと言われていますが、まだまだわかっていないことが多いと思います。どこかの遺伝子に異変が生じるといったリスクが生まれる可能性があり、安全性に問題があるのではないかと思います。
以上3つの論点から、医療目的のゲノム編集の合法化について否定します。

第一反駁


 論点3についてです。それでは、障がい者が生まれてこなければよかったなどという、障がい者に対する、ある種の人権侵害に繋がるのではないでしょうか。

論点1に関しては命をお金で操作することに関してかかる費用は社会保障費で賄えばよいです。
論点2に関しては破棄される予定だった受精卵を活用することができます。
論点3に関しては障がいが遺伝する確率が100%と3%だったら3%のほうが良いと思います。

第二反駁


障がいを持った人でもその障害を治せるなら治したいと思うし、これは健常者が病気を治したいと思うのと同じことです。なのであらかじめ障がいを取り除いて誕生したデザイナーベイビーが生まれることが、今生きている障がい者に対して否定的なメッセージを送ることにはつながらないと思います。

命をお金で操作することに関してかかる費用を社会保障費で賄うのは、借金が多い日本で行うのは可能であるのか、という問題が生じてきます。また、高齢者社会が進む今、社会保障関係費が増え、国がゲノム編集にかかる費用を出してくれるとは限りません。

相互討論


ゲノム編集をすることでリスクがなくなって、出生前診断で命を落とす可能性がなくなるといっていましたが、ゲノム編集をすること自体にリスクがあるので、リスクがなくなるとは考えられない。しかも、ゲノム編集を行うとなると、受精卵を破棄するという事態も生まれてくるので倫理的な面でも問題が生じます。

 そもそもリスクのないことなんてないので、今のところリスクは同じくらいだと思います。

 ゲノム編集を行うことによって、障がい者が減る可能性は十分に高いですが、それで本当に浮きますか?そうとは限らないと思います。

 社会保障費が浮くのかということに関しては、障がい者の人に社会保障を払わなくなるのでその分を他に回せると思います。

  社会保障費が少し浮くなどのメリットは確かにあると思いますが、お金を使って健常者を増やして障がい者を減らそうというのは、倫理的に良くないことだと思います。

  逆にお金を用いらずに解決することなんてないし、だからこそ、ゲノム編集っていうものがあるんじゃないかなと思います。

  ゲノム編集、というものがあることによって、障がい者が持っている人権を侵害してしまい、傷つけてしまうのではないかという私たちの意見に対して、国などが障がい者も住みやすいような環境を作ればよい、と言っていました。しかし、そのようにお金で解決するというのは、どこか違う気がします。

  お金を使って解決するということだけではなく、病気を治そうとしているように、障害を直そうとしている人もいます。しかしそんな中で規則とかもあります。その部分で傷ついてる人も出てくると思います。そのラインが、出生前にやるのではだめなのか、そうでないのか、 というように明白にわかっていないというのが、私たちの意見です。

要約


 ゲノム編集を行うことで病気を治す、そしてその分の医療費が浮くので、ゲノム編集を行う時にかかる費用に回す。そうすることでゲノム編集は有効活用されるので、法を定めてもっとゲノム編集を皆に知ってもらいながら安全性を高めていくべきだと思います。

 そんなに簡単に社会保障費が浮くとは考えられないし、お金を使って障がい者を減らすというのは倫理的におかしいと思います。医療目的と言いながら他のことに使ってしまう可能性もあるので、合法化すべきではないと思います。