それでは、私たちはいったい何をすればいいのでしょうか。
まず、これまでの探究活動の中でわかったことをまとめていきます。
探究活動を始めた当初、私たちは、「日本のバーチャルウォーターの輸入量を減らすことができれば、現在水不足になっている地域に水が行き届くようになるのではないか」と仮説を立てました。
しかし、世界の水をめぐる問題とその原因について調べていくと、日本がバーチャルウォーターの輸入量を減らしても、水不足の地域に水が行き届いたり、安全な水にアクセスできない人が減るとは限らず、バーチャルウォーターという1つだけの視点からでは水問題を解決することはできないことがわかりました。
例えば、水資源が豊富でも経済的に恵まれない国では、安全な水にアクセスできない人々が多くいるなど、水問題が生じる原因は、自然条件だけでなく経済的条件などが大きく関係しているのだとわかりました。
日本のバーチャルウォーターの輸入量が多いと知った時、バーチャルウォーターを多く輸入することは、相手国から水資源をもらうということだからバーチャルウォーターの輸入量を減らすべきだ、と考えました。
しかし、不足する食料や、自国では生産できないものなどを輸入すること自体が悪いのではなく、生産するうえで、相手国の環境に負荷を与えていることを考慮しないで輸入することが問題であると考えるようになりました。
水が不足すると、十分な食料が生産できず、飢餓が生じることがあります。また、自宅近くに水源がないと、遠くまで水をくみに行かねばなりません。多くの途上国では、水くみは女性や子どもたちの仕事です。長い距離を、多くの時間をかけて歩き、水をくみに行かなければならないため、学校に通ったり働いたりする時間が十分にとれません。
また、不衛生な水のせいで病気にかかり、治療費がかさむ、働けないために収入も得られない、といった悪循環で貧困から抜け出すことが難しくなります。
このように、水問題はさまざまな問題と密接に関係するのです。