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課題解決への提案

  • このままいくと…
    未来はどうなるのか?
  • 調査を通してわかったこと
  • 私たちが考える理想の社会
  • 私たちが考える理想の社会

    以上を踏まえ、「私たちが考える理想の社会」を課題解決への提案としてあげたいと思います。

    1.自然条件によって生まれる水資源量の差を、国際協力によって解決し、世界中の人々が安全な水資源を平等に利用できる社会

    調査を通して、現在の社会には、気候などの自然条件が原因でもともと水資源が少ない国も、外国から食料を輸入したり、海水を淡水化することで水を確保したりと、他国と協力することで水問題を解決している国がある一方で、経済的な理由で安全な水にアクセスできずに苦しんでいる国もあることが分かりました。

    私たちが住んでいる日本は幸運なことに昔から水資源に恵まれた国であり、私たちは安全な水にもすぐアクセスできる環境にいます。それゆえ、温泉などの日本なりの水の文化も発達してきました。私たち、水の豊かな国に生まれた側の人は、その文化を楽しみながら水のありがたみを理解することで、世界の水問題にも目を向けることが必要です。

    世界には水資源に恵まれない国が多く、そのために病気にかかったり、学校にいけない人たちがいるという現状を知り、私たち一人一人が水問題を自分たちの問題と考え、自分にできることを考えていくことは解決への一歩となります。世界中の人がそうすれば、水資源に恵まれない国への国際協力は増えていきます。

    自然条件による水資源量の差をなくすことはできませんが、国際協力によって、井戸や水道設備などのインフラ整備を行ったりすることで、世界中の人々が安全な水を平等に得ることができ、不衛生な環境によって病気にかかって死んでしまう人や水汲みなどのつらい労働をしなければならない人を救うことができます。

    そうして世界中のすべての人が人間らしく自由に生きることができる社会が私たちにとっての理想の社会と考えます。

    2.距離の離れたものを自分と関係のあるものとして見ることができる社会

    科学技術が発展し、グローバル化が進んだことで、私たちはインターネットやテレビなどを通じて遠くの国の情報も容易に得ることができるようになりました。しかし同時に、「距離の離れたものを自分と関係のあるものとして見ることができるようになったか」と聞かれたら、自信を持って「イエス」と言える人は多くないのではないでしょうか。
    しかし、水問題の解決を考えるとき、この「距離」をどのように埋めていくかがポイントになると考えます。

    私たちは探究活動を通じて、自然や環境問題を「ある国の出来事」と考えるのではなく、「どうして起きてしまっているのか」、「日本と関係が深い国ではどうなのか」などの問いを通して、国と国の間まで探り、国と国の間まで考えることで少しずつ自分の課題として解決したいと感じるようになりました。
    そのためには環境やSGDsなど、社会的課題や取り組みについて学ぶ場が、もっと学校での教育の中に広がれば、水問題を含めた社会の問題を知るきっかけになるのではないかと思います。

    私たちはお茶の水女子大学の宮澤仁先生から、遠く離れた自然や環境のつながりについて考えること、tele=遠く、coupling=連結を語源として、
    「テレカップリング(telecoupling)」という考え方を学びました。例えば、「日本人とブラジルの熱帯雨林の関係を考えること」もテレカップリングの1つです。
    私たちはこれまでテレカップリングという言葉は知りませんでしたが、世界の水問題の解決のためにはこの考え方は欠かせないものであり、水問題を探究する中で知らず知らずのうちにテレカップリングという考え方を繰り返していたのだと感じました。世界中の人がこのテレカップリングの考え方を常に心がけることができたら、遠隔地の自然や環境も自分のもののように大切にできるのではないかと思います。

    3.世界全体でみた持続可能性な社会

    私たちは問題を「マルチスケール」で見ることが大切だと考えるようになりました。例えば「日本だけ」のことを考えると、バーチャルウォーターの輸入を通じて相手の国の環境に悪い影響を与えていても、日本の環境が良い状態ならそれで良いかもしれません。
    しかし「世界全体」のことを考えると、どこかの国が過剰にバーチャルウォーターを輸入していたり、輸出していたりすることによって環境破壊が起きていたとしたら、それは大きな問題です。
    日本と世界の間につながりがあるように、異なるスケールでも常に連動しています。それぞれのスケールでの持続可能性を考えることが、本当の持続可能な社会の形成につながると信じています。

    4.解決に向けてみんなで歩き出す社会

    「水問題を解決できる人は2つのノーベル賞に値する。
    1つは平和への貢献で、1つは科学への貢献である。」By J.F.ケネディ

    世界の水問題は、一部の人の力だけでは解決できません。例えば湖沼の汚染対策として、下水処理場を整備したとしても、川に農薬が流れ出てしまう状況だと解決は難しいままです。

    バーチャルウォーターにしても、輸出国側が環境より生産の拡大による利益を重視したり、もしくは輸出国が環境を保護しながら輸出を続けようとしても、輸入国側が低価格を求め続ければ、輸出国側が環境保護にかける費用は失われてしまいます。 まずは、消費者である私たちが「この商品は正当な価格で取引されたのだろうか?」「環境に配慮されているのだろうか?」と商品を選ぶときに気にかけてみることから始めてみてはどうでしょう。水問題は大きな問題であり、J.F.ケネディの言葉にあるように、問題解決は非常に意義のあることなのです。

    さあ、みなさんも水問題解決に向けて、私たちと一緒に歩き出しましょう。