デマンド型交通
「デマンド型交通」は、路線定期型交通とは異なり、運行ダイヤ・発着地を利用者の事情に合わせて自由に組み合わせることができます。そのため、状況に応じ様々な運行形態が存在することが特徴です。
近年、少子高齢化や人口減少によって利用者は減少の一途をたどっているため、著しく利用者が少ないバス路線はバス会社が撤退してしまい、地域住民の生活の足となる交通手段の選択肢が限られてきています。そのような現状を改善するために、各地の地方自治体がコミュニティバスの運行することが広がっています。しかし、コミュニティバスの運行は自治体の財政負担を増大させることが多く、安定的なコミュニティバスの運行形態を確保・維持するのが困難な状況に陥る地域も存在します。そこで、>自治体の財政的負担を軽くした上で公共交通空白地域を解消することを目的として、費用対効果の高いデマンド型交通を、従来の路線定期型交通に代わり導入する地域が増加しています。
メリット
上述したように、デマンド型交通は利用者の事情に合わせて様々な種類の交通機関を組み合わせて利用できます。例えばバスにタクシーを併用した場合、家の前からバス停まで歩く必要がありません。このように直接目的地まで行けるなど、利用者のニーズに沿った運行が可能です。「戸口から戸口への輸送」が可能なため、自力では遠距離移動が困難な高齢者も気軽に利用できます。現在高齢化社会化が進んでいることで、今後需要が増加することの見込まれる高齢者への交通手段の供給源として利用しやすいと考えられます。さらに、利用者(住民)が分散していて路線定期型交通が通っていない地域にも対応できるため、地域の足として活躍することが期待されます。
また、デマンド型交通を利用する際には事前予約を必要とすることが多いです。そのため、利用者の需要に対しサービスを過不足なく供給できるので、費用対効果が大きく、運行会社側や自治体の財政的負担も同時に軽減されることが期待できます。
デメリット
まず、デマンド型交通のメリットとして事前予約制による費用対効果の大きさを挙げましたが、一方で予約制であるということに>わずらわしさや抵抗感を抱き、気軽にデマンド型交通を利用しようと思わない人々も一定数存在する可能性があります。
そして、乗降地が異なる利用者同士を乗合で輸送することが多いため、途中下車に時間が割かれ、特に出発地から離れた地点ほど到着時刻の変動が大きいことが懸念されます。
また、運行形態が似ているタクシー会社や、路線バスも運行している地域であればバス会社との競合が起きるなど、他の交通手段との類似点が多い故に生存競争が激しく、経営状態が悪化しやすい、ということも考えられます。