ポイントカード
地域のコミュニティバスをより多くの地元住民が利用するための対策として、商店とコミュニティバスが一体となった「ポイントカードの導入」を考えました。
具体的には、コミュニティバスに乗車するごとにポイントが貯まり、一定以上貯まったポイントは地元のスーパーマーケットなどの商店で割引券として利用できるなど、商店との連携も視野に入れた制度作りを進めるのが良いのではないかと考えます。
商店側は割引サービスを受けたいと考えた客が増えることで利益の増加につながり、もちろん利用者側は割引サービスを受けられるというメリットを享受できます。またコミュニティバスを運行する自治体やバス会社などにとっても、ポイントを貯めるためにバスを利用する人数が増えれば収益が増加して経営に余裕が生まれることが期待できます。さらに収益の増加率が大きかった場合、運行を担う自治体の財政負担が軽減されます。そのため、他の公共サービスへの投資が行われることで住民の生活の質が向上することも考えられます。
また、ポイントの引換先は商店だけでなくコミュニティバス自体でも良いのではないかと考えます。一定以上のポイントを貯めるとコミュニティバスの運賃が割引されるようなシステムを導入すれば、特に自家用車を所持・運転することが難しい高齢者などは徒歩の代わりとして積極的に利用する可能性があります。
長野県松本市の実例
ここで、長野県松本市で運行されている、ポイントカードによるサービスを提供しているコミュニティバスを挙げます。松本市は、松本駅を交通網の中心地として、鉄道やバスなどが市内各地に運行されています。しかし、鉄道・バス共に利用者は減少の一途をたどっており、代わりに自家用車の保有登録台数は増加傾向にありました。
そこで松本市は、地域の交通政策見直しの一環として、平成22年度より4店舗が協力するポイントカードサービスを開始しました。このサービスでは、薬局でポイントカードが1枚貯まると商品購入時に10%の割引が受けられる・銭湯でポイントカード1枚につき1回分の入浴無料または割引券を貰える・道の駅でポイントカード1枚と旬の農産物と引き換えられる、などの特典を実施しています。
結果的に、松本市はサービス開始後の利用者数は大幅に増加したとしています。
つまり、松本市の成功例やポイントカード制度導入から得られるメリットを考慮すると、ポイントカードサービスはコミュニティバスの利用促進に有効な策の1つだと言えます。さらに、本サイト内で紹介している「商店が出資」や「住民割引」などの施策と組み合わせることで、より多くの乗客確保に大きな効果が期待されます。