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住民割引

地元利用者の利用を喚起して安定的な収益性の確保および路線網の維持を行うために、自治体と鉄道・バス会社が連携してその地域の住民だからこそ受けられる、特殊な割引き運賃を設定することがあります。この様な取り組みにより車社会化が進んだ地方で公共交通機関の利用を促し、最終的に地域交通の活性化を目指す仕組みです。特に、人口が少なく車社会が確立されてしまっている地方では、車を運転しなくなった高齢者をターゲットとした施策が多く見られます。

高松琴平電鉄(香川県)の事例

以下に特徴的な住民割引の制度の成功例として、香川県の高松琴平電鉄で行われている施策を紹介します。
高松琴平電鉄、通称ことでん(以下、ことでんと表記)は、香川県高松市を中心に鉄道路線およびバス路線の運営を行っている会社です。ことでんにはirucaという、鉄道バス共通のICカードがあります。一般的なICカードはきっぷ購入の手間の省略や電子マネーとしての活用を目的としているのに対し、irucaの場合はICカードを通じて利用頻度が高い乗客に対する運賃割引を実施していることが特徴的です。幅広い層の利用者に合わせて利用条件・割引条件などが異なるICカードを7種類も用意されているのも特徴的です。以下に、その7つを紹介します。
1. フリーiruca
最もスタンダードなirucaで、青色を基調としたデザインです。1ヶ月の利用回数が多いほど運賃の割引率が上がります。
2. スクールiruca
学生向けのirucaで、黄色を基調としたデザインです。通学以外の利用でも学生割引運賃で利用できることが特徴的です。
3. シニアiruca
満65歳以上の乗客用のirucaで、紫色を基調としたデザインです。通常のirucaと比べて10~15%ほど割引率が高くなっており、お年寄りの方がより気軽に利用できます。
4. キッズiruca
小学生(6〜12歳)を対象にしたirucaで、桃色を基調としたデザインです。乗車回数による割引運賃ではなく「子供運賃」が適用されます。
5. グリーンiruca
緑色を基調としたデザインです。身体障害者手帳・療育手帳・被爆者手帳の交付を受けた方を対象にしています。乗車回数による割引運賃ではなく「半額運賃」が適用されます。
6. ゴールドiruca
金色を基調としたデザインです。高松市または綾川町(高松市の西側に隣接している)に在住する70歳以上の方を対象にしています。グリーンirucaと同じく、乗車回数による割引運賃ではなく「半額運賃」が適用されます。
7. iruca定期券
irucaに定期券としての機能を付加させたものです。一般的な定期券と機能自体は変わらないものの、乗り継ぎ割引や定期区間外の自動精算システムは通常のiruca同様に適用されます。また定期区間外では上記で述べたような回数割引は通常通り適用されます。

上記のような利用客に合わせたきめ細かな割引に加え、irucaには「乗り継ぎ割引」制度が存在します。irucaを使って電車とバスを同日中に乗り継いだ場合、通常の乗車回数による割引に加えて「乗り継ぎ割引」が適用されます。
この様な様々な制度を組み合わせたことで、irucaは地元利用客への優れた割引サービスを提供することに成功しており、利用促進に一役買っています。

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