分社化
路線バス会社は営利企業として活動している以上、運行路線を増やして経営規模を広げ、より大きな利益を上げることを目的として活動しています。しかし、ある程度の大きな規模を誇る会社が完成した場合、次に直面する課題は、規模が大きくなった会社全体のバランスをいかに保てるかという問題です。大きな鉄道会社(大手私鉄)の中で鉄道部門とバス部門が共存した結果、会社の規模が大きくなってしまうと、バス会社が親会社(鉄道会社)から切り離されて独立するケースが多く発生します。親会社がバス事業を別会社として切り離す理由としては、路線バスの運行よりも鉄道の運行のほうが採算性に優れており、採算性があまり良くないバス事業を切り離すことによって経営の効率化を図ろうとすることが挙げられます。
バス会社内における分社化について
日本には多数のバス会社があり、その中には経営規模が大きいバス事業もいくつか存在します。例としては福岡県に拠点を置く西鉄バスグループが挙げられ、この会社はバスの保有台数が合計3000台を超えるなどかなりの経営規模を誇ります。運行範囲が広がると、当然の事ながら営業所の数も増え、営業所ごとに営業実績に大きな違いが生まれることから、運行本数の管理や需要に合わせた運賃体系の変更が容易に行えないという問題が発生します。そこでバス会社としては運行頻度の調整や運賃の変更を積極的に行えるようにするため、会社を地域ごとに分割し、それぞれ独立させて運行するケースが多く見られます。
メリット
- 企業規模を小さくすることにより、需要に合わせた運行形態の変更が容易に行えるようになります。
- 地域ごとに独自の労働条件や人事体系を作ることができるため、人件費の削減に繋げることが出来ます。
- 地域ごとによりきめ細かな対応ができるため、減収につながりかねない事態、例えば自家用車の普及と人口の減少による乗客減少などに対し、より柔軟な対策を取ることが可能になります。
デメリット
- 地域ごとに利用者数や利用状況に大きな開きがあるため、分社化した会社同士での経営状況・給料・労働環境などの格差がどうしても生まれがちです。
- 利用客が少ない、若しくは利用状況の悪い地域で分社化を行った場合、乗客、つまり財源を安定的に確保することが難しいため、上記の「メリット」で挙げたようなきめ細かな輸送・収益改善策に踏み切ることが困難です。
- 同じく、利用客が少ない若しくは利用状況の悪い地域では、その地域で勤務する乗務員や職員の給与・労働環境が悪化する恐れがあります。