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運賃(値上げ / 値下げ)

鉄道の収益が利用者減などによって悪化した場合、鉄道会社は対策として運賃の改定を行うことがしばしばあります。運賃の改定の仕方は大きく分けて「値上げ」と「値下げ」の2つです。ここでは、値上げと値下げの双方のメリット、デメリットを挙げます。

運賃値上げ

「値上げ」は改定によって運賃が前よりも高くなることで、例えばA駅からB駅まで従来は330円の運賃であったのが340円になった場合、運賃は「値上げ」されたと言えます。

メリット

値上げのメリットは、同じ数の乗客が乗車したと仮定すると、儲けが上がることです。
先ほどのA~B駅間の運賃で考えると、運賃が10円上がっていますので鉄道会社はこの2駅間を利用する乗客一人あたり10円多く収益を得ることが出来ます。また、運行費用などの条件によっては値上げによる損益改善への効果は絶大なものとなります。
例えば、A駅からB駅まで列車を走らせるには合計10500円の費用がかかり、この2駅間では一列車あたり常に100人の乗客が毎回乗車するとします。もしこの区間の運賃が100円だとすると鉄道会社は一列車あたり10000円の収益を得ますが10500円の費用が掛かっているので結果的には一列車あたり500円の赤字です。そこで、110円に運賃を値上げした場合、11000円の収益が得られ、この場合は500円の黒字となります。

デメリット

値上げのデメリットは、それによる「乗客離れ」が引き起こされることです。先ほどの値上げのメリットについての例では乗客の変動を考慮していませんでしたが、実際には値上げを行うことによって利用者にとっては金銭的な負担が増え、それによって今までその路線を利用していた人が路線を利用しなくなり、結果的に収益が更に悪化してしまうことが十分に考えられます。

値上げによって失敗した最も有名な交通機関の例として国鉄(今のJR)が挙げられます。
1970年代、収益が悪化していた国鉄はたびたび運賃の値上げを行い、特に1976年度には平均50%という大幅な値上げを行いました。一連の運賃値上げは収支改善を目的としたものでしたが、結果として今まで国鉄を利用していた乗客が他の交通機関にシフトしてしまい、結果的にはますます経営悪化を招き、多くの地方の路線が廃止の憂き目に遭っています。

運賃値下げ

次に「値下げ」です。値下げは改定によって運賃が前と比べて下がることで、例えばA駅からB駅まで従来は330円の運賃であったのが320円になった場合、運賃は「値下げ」されたと言えます。

メリット

値下げのメリットとしては乗客が増加する可能性があるということです。例えばA駅近くにZさんが住んでいたとします。Zさんは休日、丁駅近くの温泉によく出かけており、その際は自動車を使用しているとします。A・B駅間の運賃は往復2100円(この場合、運賃以外のコストはかからないとする)で、それに対しZさんが温泉へ行く際は往復2000円の高速道路料金がかかるとします(ガソリン代など、高速道路料金以外のコストは考慮しない)。このままでは車で行く方が安いですが、もし鉄道が値下げを行って往復1800円となった場合、鉄道の方が安くなりますのでAさんは自動車利用から鉄道利用へとシフトする可能性があります。

デメリット

値下げのデメリットは収益の低下です。運賃が下がりますので必然的に利用客1人あたりの収益は低下します。値下げの効果が全くあるいはほとんど見られない、また値下げによる乗客数の改善に伴う利益が値下げによる損失を下回る可能性も十分に考えられます。

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