秩父鉄道 ― 路線データ
秩父鉄道線は埼玉県北部の羽生駅より埼玉県北の主要都市熊谷市中心部、埼玉県西部に位置する秩父市の中心部を通り、秩父市三峰口駅へ至る路線です。
乗車レポート
西武秩父線との接続駅である御花畑駅より三峰口駅まで乗車しました。乗車した車両は東京の東急電鉄から払い下げられた8090系電車です。秩父鉄道では需要や設備、運行形態に合わせて編成が短くされています。
三峰口駅行きの普通電車は、御花畑駅を発車するとしばらく街中を走行し、その後農村、更には森林地帯を突き進んで影森駅に到着。影森駅を出ると、浦山口・武州中川・武州日野・白久と、山あい・川沿いの駅に停車し、終点の三峰口駅に到着しました。三峰口駅は山に囲まれた駅で、駅舎はそこそこの規模。かつては貨物輸送が行われていた様で駅構内は線路も多く、広々としていました。また近隣の著名な観光地である三峯神社までのバスが駅前に止まっているなど山間のローカルな駅ながらそこそこの活気を呈していました。
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考察
運行形態
運行ダイヤを見ると、学校や商業施設等が多く設けられている羽生・熊谷付近では平日・休日ともに朝夕毎時4本、日中毎時2本ほどが運行されており、通勤・通学および地域の足として活用がなされているようです。秩父方面に近づくにつれて運行本数が少なくなり、終点の三峰口駅では平日は朝夕毎時3本、日中毎時1本ほどの運行となる一方で、休日は朝夕・日中ともに毎時2本ほどの運行となり、長瀞や三峰神社、秩父夜祭など多くの観光名所・イベントを誇る秩父側では観光路線としての性格が強くなると考えられます。
車両
積極的に大手鉄道会社の中古車両を購入し、運用している様子が見られます。
その他の取り組み
SL列車
旧国鉄のC57形蒸気機関車と12系客車を買い取り、SL列車「パレオエクスプレス」を運行して観光化につなげています。私は時間の都合で乗車できませんでしたが、駅に停まっている列車を見たところ乗車率はかなり高く、なかなかに好評の様です。主にアジア系の外国人観光客の姿も多く見られ、海外にもその存在が認知されていると思われることも印象的でした。
都心直通
休日は西武秩父線および池袋線に直通する電車が運行されています。後日、池袋発三峰口・長瀞行き(横瀬で三峰口行きと長瀞行きに分割)に乗車しましたが、座席がほぼ埋まるかなりの高乗車率でした。三峰口行きは観光客、長瀞行きは登山客が多く乗っており、需要に応じた棲み分けもなされているようです。
サイクルトレイン
一部区間で、列車内に自転車を解体せずに持ち込むことが出来るサービスが実施されています。家から駅まで自転車で移動し、駐輪せずにそのまま自転車と共に乗車して目的地でも自転車移動、という移動スタイルが可能になるため、沿線住民の利用促進につながる取り組みであると考えました。また、自転車で来訪した観光客の利用促進にもなり得ます。
貨物輸送
沿線にある武甲山で産出される豊富な石灰石を生かした貨物輸送が行われています。影森・武州原谷で石灰石を貨車に積載して熊谷貨物ターミナルまで輸送しています。旅客のみならず貨物輸送で収益の拡大を図っている様子が見て取れました。
感想
観光化や貨物輸送、都心直通といった積極的な取り組みや、需要に合わせたダイヤ設定など、地方交通機関としての前向きな取り組みが見て取れました。