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宮崎交通

宮崎県を運行の拠点とするバス会社「宮崎交通」で行われている貨客混載を取材しました。宮崎交通の貨客混載バスの取り組みは、西都市~西米良村間を結ぶ路線、延岡市~高千穂町間を結ぶ路線、日向市~諸塚村を結ぶ路線で行われています。今回はこのうち延岡市~高千穂町間を結ぶ路線で実地調査を行いました。

こちらは貨客混載を行っているバスです。車体にラッピングが施され、一目で区別が付きます(注:ラッピングを行わず、側面への小型ステッカー貼付で区別している車両もあるようです)。この貨客混載バスはヤマト運輸との提携で行われており、ヤマト運輸の宅配物を輸送します。車内は座席の一部が取払われ、荷物を積載できるような囲いが設けられていました。保冷設備が設けられており、クール便にも対応しているようです。積載する宅配物としては主に延岡市~高千穂町間の宅配を想定しているようで、両自治体間では朝預けられた宅配物の当日中の配送も可能なようです。

乗車

始発バス停の「延岡駅前」より途中の「平田」バス停まで乗車しました。始発バス停の時点で私の他に乗客は5人いましたが、いずれも観光客と思われる人でした。途中の恵美須町バス停で地元の人と思われる乗客1人が乗った他は観光利用者のみであり、地元の恒常的利用者の少なさを実感しました。この事から、乗客輸送のみではこの路線は維持が難しく、この様な貨客混載事業を行ってこそ路線が存続できていると考えました。

貨客混載バス(横)
貨客混載バス(正面)
貨物スペースの様子

考察

先述した通り、今回取材した路線では従来のバス会社の経営スタイル、すなわち乗客の輸送のみで採算を維持することが難しい状況となっており、貨客混載によって収益の拡大に成功している様子が見て取れました。宮崎交通以外でも多くのバス会社、特に地方バス会社では人口の減少や自家用車の普及、少子高齢化による学生利用客の減少の影響で乗客、つまり乗客の輸送によって得られる収益の減少が深刻な問題となっています。バス会社の収益減少は不採算路線の整理・運行規模縮小に繋がり、不採算路線の整理や運行規模の縮小はすなわち利便性の著しい悪化による「交通難民」の発生を意味します。
すなわちこのようなバス会社が貨客混載を実施して収益の拡大を行うことで、結果的に地方公共交通の維持に繋げることが出来るのではないかと考えました。また先述の通り宅配便業界で発生している「人手不足」の問題の解決にも繋がることから、貨客混載は「バス会社収益悪化による交通難民の発生」「運送業の人手不足」という2つの重大な問題を同時に解決できる、まさに一石二鳥の施策であると考えました。

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