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トップ>実例>海老名―寒川線バス(神奈川県海老名市、寒川町)

海老名―寒川線バス

今回、私は神奈川県海老名市海老名駅から神奈川県寒川町寒川駅を結ぶバス路線に乗車しました。本サイトに掲載している実例では、私たちの学校(慶應義塾湘南藤沢中等部・高等部)に最も近い路線です。
この路線を中心に、近くを走るJR相模線の乗車レポートも交えながら、この地域の交通改善について考えました。

路線データ・登場の経緯

この海老名~寒川線は、相鉄バスと神奈川中央交通(以下、神奈中)が共同運行している路線です。当初は、実証運行の路線でした。

2014年10月、自治体(海老名市・寒川町)主導で実証運行が始まりました。
寒川町ホームページによると、「広域的な公共交通網を整備し、住民生活の利便性を向上させたい寒川町と、コミュニティバス本郷ルートの代替案が必要な海老名市で、それぞれの課題を解決することを目的とした、寒川駅と海老名駅を結ぶ路線バスの利用実態を検証するための実証運行」としています。
双方の自治体にとってメリットがあり、自治体間での流動も期待できる実証運行と言えます。二つの自治体でコミュニティバスという形ではなく一般の路線バスとして路線の開設を行うことは珍しい例と言えます。また、直線的なルートで、自治体相互の乗り入れを行うことで、「ルート変更」の項でも触れたような不便な状況を改善できています。

その後、一定の利用が認められ、実証運行は延長を繰り返しました。そして、2017年4月から、一般路線バスとしての本格運行を開始しました。

乗車レポート

海老名駅

2018年9月16日(日)、まず私は海老名駅を訪れました。海老名駅周辺は、「ビナウォーク」や「ららぽーと海老名」などの商業施設があり、近年発展著しい街です。
事前に調べておいた時刻では、バスが発車する丁度良い時間に海老名駅に着いたつもりでしたが、バス停に着き、なかなかバスが来ないなあと思っていたら、なんと平日ダイヤを調べていたことが発覚しました。
ショックを受けましたが、次のバスは一時間後でしたので、海老名駅から寒川駅を結んでいるJR相模線に乗車し、寒川町の方へ向かうことにしました。

JR相模線

JR相模線は、4両編成、日中は一時間に3本程度の路線です。ドアの開閉は全駅ボタン式で、神奈川県では珍しく単線です。部活の遠征で利用した友達に相模線について聞くと、かなり「ローカルな鉄道」だったと答えました。故に、神奈川県民の感覚や県内の他路線からしたらローカルな路線であるといえます。
私は、宮山駅まで乗車しました。座席がぎりぎり埋まらないくらいの乗車率でした。私が普段相模線に乗っているときも、このような乗車状況です。空き過ぎず、混み過ぎずな路線なので、採算が大幅に取れていないことはないでしょう。
相模線は、先述した通り単線なので、行き違いにより数分停車する駅があります。そのため、相模線は所要時間が長くなってしまいます。

約20分乗車して、宮山駅に到着しました。この駅は、写真からもわかる通り、寒川神社の最寄り駅です。寒川神社は、神奈川県では有名な神社です。初詣の時期などは、たくさんの人々でにぎわいます。普段はさほど需要はありませんが、正月には強い需要があります。

宮山駅の様子です。無人駅で、駅舎には時刻表や運行情報を表示する情報提供機器が設置されています。駅を無人化し、サービス削減をしても利便性を損なわないように努力されているように感じました。
また、駅前には、駐輪場があります。自転車に乗って、駅に駐輪して電車に乗って出かけるという移動の仕方も活発なようです。駐輪場は無料で、十分な駐輪スペースがあります。
駅前道路には、寒川町コミュニティバスのバス停がありました。複数の路線を合わせると、本数は意外と確保されていて、使える交通機関であるといえる範囲と感じました。

寒川神社の方にバス停があるので、寒川神社まで歩きます。写真のように、この地域の道路は、混雑してはいません。道路状況は良好といえます。車を運転してもストレスなく移動できるでしょう。

6分ほど歩き、寒川神社に到着しました。寒川神社の参道にもバス停があります。バスを使った方が歩く距離が少ないです。

寒川神社 「寒川神社参道」バス停

その後、寒川神社の参道を寒川方面へ歩きました。その後、「寒川郵便局前」からバスに乗車することを決めました。

数分遅れでバスは到着し、乗車しました。神奈中運行で、小型バスが使用されています。既に7人乗車していました。

「寒川郵便局前」バス停 乗車したバス

相模線の駅にも遠く、ほかのバス路線もないエリアを進んでいきます。狭隘区間(道幅が狭い区間)は見受けられず、途中遠回りして客を拾うエリアもありました。
途中では5人ほど乗客の入れ替わりがあり、海老名駅に到着しました。

車内の様子 海老名駅に到着後

運賃は寒川郵便局前⇒海老名駅で400円(現金・IC同額)でした。相模線が200円(宮山→海老名・IC195円)であることを考えると、距離制であるために少々高い運賃設定です。

考察

この「海老名〜寒川線」は、二つの自治体が協力して自治体を跨いだ便利な路線を開設したモデルケースとして有効です。また、利用状況も悪く無く、継続運行が期待できます。
しかし、改善すべき点はまだ沢山あると考えられます。
まず、寒川神社への観光、参拝需要をうまく拾いきれていない点が挙げられます。この「海老名〜寒川線」は、寒川神社に最も近い場所で発着する公共交通機関です。しかし、寒川神社の公式サイトにこのバスの記載が無く、寒川神社にアクセスする旨を表示した目立った表示や広告がバス停に見受けられませんでした。故に、バス停に寒川神社までの運賃、所要時間を大きく明記し、寒川神社の輸送需要を取り込むべきです。

次に、定期券が使えない点です。現状では、運行が二社に分かれているために神奈中の定期券は発売されず、相鉄バスの定期券は全線共通の金額式定期券のみです。通常、このような複数社の共同運行ではどの会社のバスでも乗れる「共通定期券」が発売されますが、この路線では発売されていません。故に、定期券でこの路線を利用することは現実的ではありません。
実は、関東地方のバス定期券の割引率は低く、通学定期でも土日休みだと元を取りにくいので、定期を使ってもさほど運賃は変わりません。しかし、共通定期券の設定をしていないのは、この路線がコミュニティバスの延長としか考えられていないことの表れではないでしょうか。
定期券を発売することで、土日も部活等で学校に用事のある人は少しではありますが安くなり、乗車のハードルが低くなります。
採算が取れる路線としての活路を探っている以上、定期券の設定をし日常的に使いやすいようにするべきではないでしょうか。

以上の方策を取り乗客を増やすことで、増便や、小型バスから中型バスへの大型化も可能だと考えられます。

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