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トップ>実例>四日市あすなろう鉄道(三重県四日市市)

四日市あすなろう鉄道とは

四日市あすなろう鉄道は、三重県四日市市に位置する鉄道です。
内部線及び八王子線の運行を行っており、双方の路線が通常の鉄道よりも線路幅の細いナローゲージ(線路幅762mmに対してJR線は1067mm)であることが特徴です。
この2路線は元々近畿日本鉄道(以下、近鉄と表記)が運営していましたが、赤字の為バス転換を行うことになりました。しかし、地元住民からは鉄道の存続を求める声が多く寄せられました。
そのため、近鉄の子会社として四日市あすなろう鉄道が設立され、列車の運行はこの鉄道が行う一方で線路の管理は四日市市が行う第三セクター方式によってこの2路線は存続を図ることになりました。

乗車レポート

近鉄四日市駅・あすなろう四日市駅まで

名古屋駅からJR・近鉄線を乗り継いで近鉄四日市駅へとやってきました。
近鉄四日市駅までは、近鉄名古屋駅から行けば急行利用で約35分、特急利用で約30分で到着します。
あすなろう四日市駅は、近鉄四日市駅から道路を跨ぐ連絡通路を進んだ先にあります。近鉄時代は、あすなろう四日市駅も近鉄四日市駅と呼ばれていましたが、路線移管に合わせて改称されました。

あすなろう四日市駅

あすなろう四日市駅はこのようになっています。ホームは二つあり、すでに列車が止まっていました。
交通系ICカード非対応のため、切符を券売機で購入し、駅員の改札を受けて乗車します。駅窓口では、鉄道グッズなどの販売もありました。

乗車

電車は、右のような外観をしています。
この車両は、新260系という車両で、あすなろう鉄道に移管後に改造され、バリアフリーへの対応、快適性の向上がなされています。
このような地方鉄道で新しい車両が導入されているのは珍しいと感じました。
8割方座席が埋まるくらいの乗車で、学生から高齢者まで幅広い世代が均等に乗車しているように感じました。 運行頻度は、内部線、八王子線それぞれ毎時二本です。

車内

車内は以下の写真のようになっています。
新車のため、全体的に新しい印象を受けました。ナローゲージの電車のため、機器室が車内に設けられているのが特徴です(電車が小さい故、床下だけでは機器が収まり切れないため)。
また、ワンマン運転用の運賃箱と運賃表のモニターが設けられています。

車内は綺麗 運賃表のモニターと運賃箱

内部駅へ

住宅街の中に敷かれた小さい単線の線路を進んでいきます。
速度はあまり出ません。最高でも40km/hほどでしょうか。ナローゲージなので通常の電車よりも揺れました。
日永駅で支線的扱いである八王子線と分岐し、計6駅を経て終点の内部駅に到着しました。所要時間は17分でした。

内部駅にて

内部駅は、有人駅で、車庫が併設されています。
駅舎は、以下のような外観でした。駅の外に出ると、バス停を発見しました。近鉄四日市駅・JR四日市駅へのバスが出ているようです。頻度は毎時1本ほどですが、運行間隔がバラバラです。
駅前の道をさらに進むと、国道1号線が見えてきました。片側二車線の道路で、立体交差もなされており、この地域の道路インフラは充実していると言えます。

内部駅外観 国道一号線

考察

四日市あすなろう鉄道は、地方都市の近距離交通を担う鉄道です。
先述したように、域住民の努力で鉄道存続したという経緯があり、存続への意識は比較的高いといえます。また、新車導入で冷房が付いていない車両を一掃したのも、「使いやすい鉄道」への第一歩です。
しかし、内部駅が国道1号線に隣接していたように、道路インフラが比較的充実している地域です。それ故、四日市あすなろう鉄道のライバルは、マイカーといえるのではないでしょうか。また、マイカーであれば、近鉄名古屋線や関西本線の他の駅にもダイレクトにアクセスできます。
運賃面での見劣りも見逃せません。近鉄時代は、近鉄線と運賃が通算できたためこの鉄道を使う際の負担はあまりありませんでした。しかし、四日市あすなろう鉄道への移管後は運賃値上げされ、近鉄線との運賃の通算が出来なくなりました。

このように、決して先が明るいとはいえない四日市あすなろう鉄道ですが、観光化の余地が充分にあると考えました。なぜなら、四日市あすなろう鉄道は日本ではあまり例のない「ナローゲージの鉄道」だからです。
四日市市は、名古屋から数十分とアクセスもよい場所です。故に、ナローゲージであることを更にアピールしたら、遠方の鉄道ファンなどの利用が増えるのではないでしょうか。
現状では、ナローゲージであることの宣伝、アピールが充分になされていない印象を受けました。筆者は鉄道ファンですが、今回ナローゲージの鉄道に乗車してみて独特の可愛らしい魅力を感じました。ナローゲージは観光資源になり得ると考えます。
さらに、余裕ができたら観光車両の導入や、運転体験などのイベントも行うと更に鉄道ファンの利用を取り込めると感じました。

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