教員インタビュー

このサイトの内容を深めるうえで、本校の家庭科の先生ににお話を伺いました。先生は授業において労働に関する問題を取り扱っており、その内容は受講した高2メンバーのサイトを作るに当たっての基礎知識となりました。そこで、今回は労働に対する社会のあり方について色々とご意見をいただきました。

―高校生がバイトすることについて先生自身はどうお考えですか?
高校生の本分は勉強なので、バイトをする暇があれば勉強をしたほうがいいと思います。

―現代の日本は労働力不足という大きな問題を抱えていますが、解決するにあたって社会はどうなって行くべきだとお考えですか?
働きたい人が自由に働ける社会にすることじゃないでしょうか。現在、日本の社会には働くことに関する慣例がしみついています。例えば「性別役割分業」が挙げられます。

※性別役割分業 「男は仕事、女は家庭」というように、性別によって社会の中で行う役割が定められている社会制度のこと。

女性が働きたいと思ったときに職場復帰しやすいことは大事でしょう。日本は中途採用があまり身近ではありません。そのため一度辞職したあとに正社員として再び働くことはとても珍しいと言えるでしょう。女性が労働をすることによって日本全体の労働力はかなり上がると思います。

東アジア圏には儒教の考え方が根付いています。それ由来の男尊女卑に近い考え方や、性別役割分業が根付いているとも考えられます。

儒教において、女性は「幼にしては父兄に従い、嫁しては夫に従い、夫死しては (老いては) 子に従う」べきとされています。また論語には「女人と小人は養い難し、これを近づければすなわち不遜なり、これを遠ざければすなわち怨む」つまり、女性と徳のない人間は近づけると調子に乗り、遠ざけると恨む、と書かれています。

また、「定年退職」も慣例の一つとみなせるのではないでしょうか。現在の定年退職の年齢は60歳から65歳です。医療の発達などによって、その年代の人々にも健康に問題がない人が多く存在します。ゆえに、さらに定年年齢をさらに引き上げることも検討したほうが良いと思います。

―慣例に関連した質問ですが、「年功序列」についてはどうお考えでしょうか。
年功序列というシステム自体は理にかなっていると思います。しかし、どんなものでもシステム自体は悪くなくても、悪い影響というものは存在し、例にもれず、年功序列もそうなのではないでしょうか。

現在の日本は、会社の力が社員の力に対して強すぎると思います。もちろん、給料をもらっている以上はやるべきことはこなす必要はあります。しかし、「いい人」であろうとするあまり、自分の生活を犠牲にするのは違うと思います。

―教職はブラックと聞いたことがあるのですが、本当ですか
本当ですね。昔は勝手に教員は暇だと思い込まれていた節がありました。しかし、昔も今も忙しさで言ったら変わりません。現在になって教員の忙しさが注目され始めたことに関しては「ああやっとか...」と思っています。

公立の学校の教員は「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」、通称「給特法」によって残業代が出ないと取り決められています。文部科学省の調査によると教員の1日の平均労働時間が、「小学校教員で11時間15分、中学校教員は11時間32分」と、平均的に教師は長時間労働をしていると言えます。

また、上で挙げた慣例は残っていますが、日本も変わりつつあるということも事実です。実際に会社で権力を持つ世代が変わることによって、社会全体の風潮も変わってくるかもしれません。

急遽、またお忙しい中でインタビューを引き受けてくださり、ありがとうございました。