昆虫食以外の代替たんぱく源
ここでは、昆虫食以外に牛・豚の代替たんぱく源となりうる食品を紹介します。
大豆
日本人にとっては馴染み深い食料ですね。
大豆は、たんぱく質だけでなく脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維も豊富で大豆イソフラボンという骨を丈夫にする栄養をもつとても健康的な食料です。
さらに、畑の肉と呼ばれるだけあって「アミノ酸スコア」が最高値の100です。
これはたんぱく質を作るために必要な9種の必須アミノ酸がバランスよく含まれていることを意味していて、
最高値は動物には多いものの植物には非常に珍しいです。
実は、大豆は直接食べるというより、主に飼料として使われています。
大豆の使い道はなんと飼料用が7割も占めていて、食利用は1割程度だけです。
豚肉・牛肉からは与えた餌の一割弱のたんぱく質しか得られない※1ので、その効率の悪さがわかりますね。
大豆は昆虫と違ってよく食べられているものであり、さらに大豆ミートと呼ばれる身近なものであれば豆腐ハンバーグのような
お肉に似せたものが健康面の良さやベジタリアンも食べれるお肉ということで注目されているので
牛肉と豚肉の代わりとなるときに受け入れられやすいでしょう。
しかし、大豆にも欠点があります。
需要が一層増すことで、1960年代3,000万トンにも満たなかった大豆の生産量は、 2015年には3.2億トンと10.7倍と大きく増加しました。
小麦3.1倍、米3.2倍、とうもろこし4.9倍) の増加率と比較しても圧倒的に高くなっています※2。 このことによって森林の減少に大きく影響を与えています。
近年大豆生産に盛んな南米では自然生態系の消失が進んでおり、大豆栽培の拡大はその主因と言えます。
南米で大豆の生産量が増え始めた時期は、広大な森林や草原、サバンナが農地へ と転換された時期と一致するからです。
森林が消失することは地球全体の環境にかかわってくる問題ですので、止めなければいけません。
※メンバーが描画
魚粉
魚粉は、カタクチイワシなどの小魚を乾燥して粉末にしたものです。
たんぱく質含有量が60%以上と高いこと、アミノ酸組成に優れていることと、非常に安価であることから、主に養殖用の飼料として重宝されています。
(魚類の多くもアミノ酸スコア100です)
しかし、魚粉生産量世界1位のペルーで資源保護と価格安定のために減産をしていて、
2000年に700万トンあった魚粉生産量は、2010年に入ってからは450万トン前後で推移しています※3。
また、養殖をすると安価であるという大きな利点が失われ本末転倒になってしまいます。
以上の理由から、これ以上魚粉の増産は期待できません。
このたんぱく源は牛肉、豚肉と同様に代替が必要なものです
藻類
これはなかなか聞くことがないたんぱく源ですが、高いポテンシャルをもっています。
最大の特徴は光合成で増え、単位面積あたりの生産性が高いことです。
藻類は土地ベース・一年あたりで大豆の15倍のたんぱく質生産量を誇っています※4。
さらに、水槽で育つため植物の育たない土地でも生産可能で、昆虫同様、宇宙での飼育も研究されています。
現在は従来のたんぱく源と同じ価格で売ることが難しく、独特の魚臭さがあるためあまり実用されていませんが、
有望なたんぱく源です。
単細胞たんぱく質
メタンや電気を使って酵母やバクテリアを培養・増殖し、飼料として利用する試みが行われています。
メタンを餌とするバクテリアを大規模生産しようとしている企業は、価格競争力が高く安くつくれるとしています。
将来は、鶏肉・昆虫・藻類に単細胞生物を食べ合わせて暮らしているかもしれませんね。