移植
臓器移植
臓器移植とは、病気や事故などで臓器(心臓、肺、肝臓、腎臓、膵臓、小腸など)が正しく機能しなくなった人に、他者の健康な臓器を移植して機能回復をさせる治療のことです。
そのため、いくら高度な医師や技術があっても臓器提供をする人がいないと成り立たない治療でもあります。
移植の種類
移植は亡くなった人から受けるイメージがあるかもしれませんが、健康な人からも移植(生体移植)することはできます。
臓器移植の現状
日本臓器移植ネットワークに登録しているドナーは約1万3000人近くいます。
しかし、移植が必要とされていながら移植を受けることができずに死亡するレシピエントが、肝臓では年間約2000人、心臓では年間約数百人いるとされています。
参考)最近の日本で1年間に行われている臓器移植は
・腎臓移植が約1300例
・肝臓移植が約500例
・その他 心臓や肺が約10例
骨髄移植
骨髄移植とは、免疫を担う血液疾患のためにHLA抗原などがより一致するドナーから採取した骨髄を、レシピエントに注入する治療のことです。
病気で正しく機能しなくなった骨髄液を健康な人の骨髄液と入れ替える治療のため、HLA抗原などの一致率は臓器移植の時よりもより高くなければなりません。
骨髄移植の現状
現在の提供希望者は約53万人程でドナー登録数は同じく約53万人程です。
HLA抗原の一致率を考えると明らかにドナーが少ないことがわかります。
移植と拒絶反応
拒絶反応とはドナー(提供者)の臓器をレシピエント(受取人)が受け取る際に起こる反応のことです。
移植された臓器への拒絶反応(移植反応)を回避するためには、レシピエントとの適合性を考え、さらに移植後は免疫抑制剤を使用する必要があります。
適性は、ヒトMHC分子であるHLA(ヒト腫瘍組織適合抗原)型の一致や相性で判断します。
臓器移植においてドナーとレシピエントの血液型やHLAを出来るだけ一致させることが結果として、移植後の臓器の機能を長続きさせます。
移植前にドナーの抗原に対するレシピエントの抗体が無いことを確認(リンパ球交叉試験、クロスマッチ検査)し、激烈な拒絶を起こさないようにしています。
拒絶反応は起こる時間に個人差などがありますが、放っておけば臓器が傷つき、正常に機能しなくなります。
しかし組み合わせの数は非常に多く、兄弟姉妹でも4人に1人、それ以外に完全一致する確率は数千〜数万分の1となりドナーを探すことは非常に困難です。
拒絶反応の種類
超急性拒絶、急性拒絶、慢性拒絶の三種類があります。
また、免疫抑制剤は急性拒絶の予防に使われます。
私たちにできること
臓器移植は移植をした際に拒絶反応をなるべく少なくさせるためには、ドナーとレシピエントの型をなるべく一致させなければなりません。移植できる臓器の数が少ない中、一致させることは難しいですが、私たちが臓器移植の意思表示をするだけでも変わるのではないでしょうか。
家族と話し合い、意思表示カードを知ること、持つことが大事なのかもしれません。
また、骨髄移植の場合は臓器移植よりもより高い一致率が必要なため、ドナーの数が必要となってきます。
一人でも多くの患者を救うためにはドナー登録をするところから始まります。
私たちにできることは限られていますが、その限られた中でも行動を起こすべきなのではないでしょうか。