中国の格差
中国は過去30年の経済改革によって急速な経済成長を遂げました。
その経済成長は、世界のなかでも中国ほど今と昔で変化した国は珍しいといわれるほどです。
しかし、そんな急速な経済成長を遂げたのは都市部の話。
農村部はその経済成長に乗り遅れ、貧しい暮らしを強いられている人が多くいます。
なかには現代的な生活とはほど遠い暮らしをする人もいるほどです。
それでは、中国の経済成長、そして都市部と農村部の格差の様子をデータとともに見てみましょう。
経済成長のきっかけとなる経済改革
1978年から「4つの近代化」をスローガンとし、「先富論」という考え方のもと改革開放政策と呼ばれる経済改革が行われました。
「4つの近代化」とは、中国の工業、農業、科学技術、国防の近代化のことで、「先富論」とは先に豊かになれる条件を整えたところから豊かになり、その影響で他のところも豊かになればよいという考え方です。
沿岸部都市が外国からの投資や技術の導入を目的に外国企業に開放された地区である経済特別区に指定され、海外企業からの投資が集中するようになりました。
その結果中国は世界の工場と呼ばれる生産大国になると同時に、ヨーロッパ、アメリカ、日本などに次ぐ消費大国へと急成長していきました。
急激な経済成長
改革開放政策は中国の経済を大きく発展させ、GDPも大幅に成長しました。
グラフからも急激にGDPの大幅な成長の様子がわかります。
総務省統計局「世界の統計2016」「世界の統計2021」より
都市部と農村部の格差
中国の改革開放政策による経済発展は、農村の人々を犠牲にしたものだ。という指摘をされることもあります。
これは沿岸部都市が改革開放政策によって経済成長を遂げる一方で、内陸部はその経済成長の波に乗り遅れ、内陸部での生活は非常に厳しいものとなっています。
農村部は水や電力などの不足、医療や教育などの不十分など内陸部に行くほどこれらの問題が深刻な状況になっているのです。
内陸部では農業以外に働く場所がなく、都市部の方が圧倒的に豊かであることから、農村部に住む人々が大量に都市部に流入しました。
都市部と農村部の一般家庭の平均収入の格差は3倍以上と言われ、年々拡大していっています。
その格差の様子は下のグラフからもわかります。
海外リポート「中国における所得格差問題」
http://www.fukuoka-fg.com/files/items/11221/File/201012_kaigai.pdfより引用
そして、今後も都市の一部の富裕層は収入がさらに伸びると見込まれていますが、農村の人々の収入の増加は期待できないといわれ、格差は拡大するばかりです。
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