日本の学生の学習到達度は非常に高く、先進国の中でもトップレベルである。戦後の学力の低下の影響で知識詰め込み教育が導入され、知識量の増大に比重がおかれている。受動的な教育やICT活用度の低さが問題視され、教育に関する改革が行われつつある。
近年では暗記を重視した教育制度が問題視され、自ら考えて導き出すこと力を身につける思考型の教育に移り変わってきている。暗記する力よりも生徒の自主性を尊重し、学習への探究心を大事にした様々な取り組みがされるようになってきている。物事に対する自分の意見を述べたり、生徒間で議論する場を増やしたりするなど、積極的に学べるよう授業内容が変わってきている。小学校からプログラミング教育の必修化がされたり、ICT機器を全国の学校に配布するなど、ICT教育にも力を入れていることがわかる。
東アジアの国々は比較的豊かな国が多いため、所得による大きな教育格差や教育不足は他の地域ほどは見られない。一方で一部のカリキュラムに関しては、数十年ほどで社会の変化に合わせて見直すべきだという意見も多く上がっており、現在どう変えていくか議論が進められている。
南アジアでは教育不足が深刻であり、学校に通うことができていない子どもの人口はアフリカに次いで多い。そうした子どもたちの中でも特に女子が多く、男女の教育格差が大きな課題となっている。十分ではない教育の背景には、紛争問題や経済的問題などの社会問題があると考えられている。
多くの国は義務教育が9〜13年と比較的長く設けられていて、教育レベルは世界トップクラスである。
一方で、学校の中退率が高く、EUでは平均10.2%、スペインでは16%、ルーマニアでは16.4%となっている。中退率には男女の差が顕著に出ていて、特にスペインでは男性の20.3%、女性の11.6%が中途退学しており、男女での格差が大きく見られる。中退は実質的に社会の排除に近いとされ、中途退学する学生が多いというのは大きな問題点である。 一般的に、識字能力の低い生徒の方が中退する傾向にあり幼児教育の重要性が上がっている。
アメリカの教育は他国と比べ積極性や個人の考えを尊重することが大きな特徴としてある。その一方で、所得によって引き起こされる教育格差が大きいという大きな問題を抱えている。地域の治安や財政状況等に教育が大きく左右されるため、貧困層が十分な教育を受けることが難しい仕組みとなる。
高校は大学と同様に単位制で、生徒それぞれが異なる時間割で過ごす。こうした教育環境の良くない学校への不満からその対策として在宅教育である「ホームスクーリング」が認められており、約230万人が利用している。1930年、ブラジルでは国民の3割ほどが識字者であり初等教育を重視してこなかったが、現在は義務教育は8年間と教育システムの見直しが進められてきた。2004年には15歳以上の識字率が男女ともに約88%と、その効果が現れる形となった。
一方で南米は地域内や国内でも経済格差が大きく、そうした事情で教育を受けられない人が多いことから、治安の悪化につながることが懸念されている。南米で最も貧しい国の一つであるボリビアでは保護者の同意で12歳から、自営であれば10歳から働けることが法律に規定されており、子どもたちの教育が奪われる原因となっている。また、これらの地域には多くの先住民族が住んでいるが、政治的に配慮されず弾圧が強まっており、十分な教育が受けられていません。昔に比べ教育は充実してきたが、格差や児童・先住民の問題など課題は山積している。
シリアでは2011からの内戦によって、多くの難民が生まれた。国内避難民となった人々の大半はキャンプなどで過ごす。難民となってしまった子供たちの中には戦死や行方不明等が原因で家族と離れ離れとなってしまった子供が少なくない。このような状態では子供たちが精神的に十分に教育を受けられる状態にいるとは言えず、また校舎の破壊などで物理的に教育を受けられない環境にいるとも言える。
家計を支えるために働いていたり、学費が賄えないといった理由から、世界で小学校に通うことのできない子どものうち半数以上がサハラ以南のアフリカの子どもたちである。 また、一つの国の中でも貧富の差による教育格差が大きい。貧困層の割合が特に大きいギニアや中央アフリカ共和国では一人の子供に割り当てられる教育費に6~9倍の差があるというのが現状だ。
オーストラリアでは国内で明確に遠隔地域と都市部で資金面、教育面ともに大きな格差がある。言語や生活様式が西洋化する一方で原住民との言語の問題などを抱えている。子供たちが英語を学ぶのは小学生もしくはその入学前のプリスクールで初めてになる。 元々、イギリスの植民地であったために、英語を主要言語としている。多国籍化する中、1980年代から1990年代には移住者の言語を経済的な資源としてとらえ、言語教育では、日本語、中国語、インドネシア語、韓国語といったアジアの言語の学習などを導入し、イギリスに依存するのではなくアジアとの安定したオーストラリア経済を実現していこうという動きがあった。その後もアジア言語の教育が進められ、言語問題は改善しつつある。 また、遠隔地、先住民の教育格差問題は例えばクイーンズランド州では遠隔地へき地教育支援プログラムや先住民向けの就学前「前」教育プログラムなどが導入され、解決が進んでいる。しかし現状オーストラリア国内での経済格差は未だに大きいままであるため、さらなる対策を講じる必要があるだろう。
プログラミング教育は、論理的思考力(プログラミング的思考力)を持った人間が今後の社会に望ましい人材であるという考えから、新たに新学習指導要領で必修化されることになった。コンピューター設備状況は地域により差があり、問題となっている。
シリア内戦は、「アラブの春」という民主化要求運動をアサド政権が弾圧したことに端を発した武装闘争である。現在も混乱が続いており、大量の難民がヨーロッパに押し寄せたことで国際的問題となった。