しっちょる?温泉と地熱

八丁地熱発電所に行ってみた!!

温泉や地熱発電所についてまとめるに当たり、メンバーの一人が日本一大きな地熱発電所である 八丁原地熱発電所(大分県九重市)へ実際に足を運んでみました。
八丁原地熱発電所に見学に行った感想をお話します。
入口の写真

1.職員の方からの説明

始めに、職員の方から地熱発電についての説明をいただきました。
たくさんの過程を経て地熱発電というのは成り立っているんだ、ということがひしひしと伝わってきて、 改めて仕組みの奥深さを実感しました。
また、たくさんの分かりやすいパンフレット等も頂くことができ、大変わかりやすかったです。 「地熱発電ゲーム」というものの筐体が置いてあって、個人的にとてもやってみたかったのですが、 今現在はコロナにより出来ないようになっている…ということで断念。 コロナが落ち着いた暁には、トライしてみたいです。

2.見学

説明が終わった後は、実際に地熱発電所の施設の敷地内を歩かせていただきました。

①蒸気井、二相流体輸送管

蒸気井の写真

案内係のお姉さんが指差した先は山の上。そこには遠くに見えるかっこいい機械…!
家に帰ってからパンフレットを見てみると、肉眼よりももっとかっこいい設備があるそうな。 実際に見てみることができるかは分かりませんが、いつか見てみたいです。

②フラッシャー

フラッシャーの写真

次に見たのは巨大なフラッシャー!自分の身長の倍以上ある大きなフラッシャーは、三菱重工の長崎造船所で造られたものでした。 とても意外でしたが、こんなに大きくて、それこそ船の部品みたいだなぁと思うと思わず納得。
製造された日付も平成元年…つまり約35年前!八丁原の歴史の長さも実感できました。

③冷却塔

冷却塔の写真

巨大なフラッシャーから後ろを振り返ると、そこには滝のようにたくさんの水が落ちて入っていっている設備が…!
これは、発電に使った水蒸気を凝縮させて水にするための工程だそうな。使ったものを無駄にしない。素敵だなぁと感じました。 こういうところに環境にもお財布にも優しい配慮を発見…!

④気水分離器

気水分離器の写真

フラッシャーの隣には、なにやら複雑そうな機械…お姉さんによると、これは「気水分離器」。蒸気と熱水を分離するためのものですよ、と教えていただきました。
ここで分けられた蒸気は、タービンでいよいよ発電に用いられるようです。

⑤タービン

タービン、司令室、階段の写真

その後屋内に入って、ようやくタービンにたどり着きました。
1秒間あたり60回転という途方もなく高速で回っているタービン。 今はタービンの中身のひとつが点検中らしく、普段なら見られるはずの予備が使われていて、見ることができませんでした…残念…。
周囲にはいろいろなレバー、ボタン、モニターが所狭しと並んでいて、一昔前のロボットの中身みたいだなぁと思いました。

3.感想&まとめ

今回八丁原地熱発電所を見学させていただいて分かったのは、「地熱発電は地球環境に優しい、次世代のクリーンエネルギーになりうるのではないか」ということです。
化石燃料のような温室効果ガスなどを発するものは一切使用せず、使うものは循環させて可能な限り地球環境に影響が及ばないようにする。 消費せねばならないものがないため、二つの意味において"得する"発電と言えるでしょう。

一つ目の意味としては、何と言っても企業(今回で言うと九州電力さん)の環境保護に対する取り組みの役に立つ、ということです。
2015年に国連で「持続可能な開発目標」いわゆるSDGsが定まってからというもの、世界中の人々はますます環境保護について敏感になっています。 それに伴って企業も社会的活動に尽力するようになり、どれだけ自然環境に対して配慮できているか、というのも企業のステータスのひとつだとみなされ始めました。
そんな中、たくさんの化石燃料が不可欠な火力発電や、ダムの建設などにより森林などの自然環境にダメージを与えてしまう水力発電、 万一の際に数多くの人間を危険に晒してしまう原子力発電(東日本大震災での原発事故が例に挙げられます)など、"何らかの犠牲を必要とする発電"に対する 否定的な声は、日に日に強くなっていきました。
効率やコスト削減をとるか、環境への配慮をとるか。…企業に対して迫られている選択は、かなり悩ましいものだったはずです。
地熱発電は、そんな企業にとって「使える」発電だと言えるかもしれません。 循環する資源を使っている分、かかるコストは化石燃料を入手し続けければならない火力発電よりも少なくなるし、環境への配慮にもつながる。 原子力で言う核燃料廃棄物のような「ゴミ」が出ない分、後始末の心配をする必要もない。(このあたりの詳細はその他の発電にも掲載しています)
このように、地熱発電は、企業にとって「得する」発電なのです。

二つ目の意味に移ります。それは、地球規模で見た際に、枯渇してしまう資源がない、ということです。
先程の「一つ目の意味」でもお話ししたように、今台頭している発電方法…特に火力発電や原子力発電では、「持続可能な原料」がありません。 発電所を稼働させている限り、発電会社側は化石燃料など発電に必要な原料を入手し続ける必要があります。
そこで問題になってくるのは、資源の有限性。この世界のなかに残されている燃料には、もちろん限りがあります。
そういった面からも近年注目を浴びているのは、太陽光や風力などの「再生可能エネルギー」。そして完全に原料を循環させることができるのは、地熱発電です。 (詳しいメカニズムについてはこちら) そのような金銭的な面からも、地熱発電は「得する発電」でしょう。

私の住んでいる大分市の某所から八丁原発電所まで、数時間。森の中にあるため、山を登る際車酔いにも苦しみました。 けれども、周囲には民家や商店も存在し、ここの場所を確保するのも大変だったんだろうね、と親と話していたのを今でも思い出します。
それでは改めて八丁原地熱発電所の方々にも感謝の意を申し上げつつ、「八丁原地熱発電所に行ってみた!」を締めさせていただきます。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!