集中と運動

1.エクササイズ(運動)と集中力はどんな関係?

 さて、ここで一つ質問です。あなたは運動が好きですか?
 どうしていきなり?と思うかもしれませんが、実は運動と集中力にはたくさんの関係があります。あなたの周りにも、運動もできるし、勉強もできるような子はいませんか?その子はもしかしたら運動が好きだから、勉強ができるのかもしれないですよ。なぜそのような事が言えるかという理由を説明するために、スウェーデンで行われたある研究を紹介します。
 この研究は、ある二つの小学校で行われました。それぞれの学校で、体育を毎日行うクラスと週に二回行うクラスを作り、比べてみました。すると、当たり前ですが、体育を毎日行ったクラスの方が体育の成績が上がりました。しかし、それだけでなく、体育を毎日行ったクラスは、算数や国語、英語でも良い成績をとりました。体育の回数以外の条件は一緒だったにも関わらず、この結果は何年も続きました。
 この研究以外にも、体力がある子供の方が集中力があるという調査がたくさんあります。つまり、運動を行い、体力をつけることで、集中力を上げることができるのです。中学生や高校生は、部活動に参加しているという人も多いと思います。運動部の人なら、部活にしっかり参加するだけで、集中力の向上が期待できるでしょう。文化部の人も、毎日ストレッチなどをするだけでも、十分効果を期待できます。少しずつ、頑張って日々に運動を取り入れてみてはいかがでしょうか。


2.運動はいつ行うと良い?

 では、運動は勉強などの作業の、前にすれば良いのでしょうか、後にすれば良いのでしょうか、または合間にすれば良いのでしょうか。正解は、作業の前です。運動によって私たちの脳では下の図ようなことが起こります。
 よって、運動すると集中力を高めることができるのです。ある研究家によると、効果は運動後1時間〜数時間続いた後、だんだんと薄れていくそうです。一回心拍数を上げるだけで、数時間ほど集中力を高めてくれるため、とてもコスパがいいと言えるでしょう。
 また、一日の中で、どの時間帯に行うとより効果的かというと、朝です。朝は脳が一番良く働くと言われています。つまり、その時間帯に運動を行うことで、最高に集中した状態で、勉強や作業に向かうことができるのです。


3.どんな運動を行うと良い?

 ここまで読んだあなたは、運動がどれだけ重要なのかわかったと思います。では実際には、どんな運動をすれば良いのでしょうか。①の研究や②からわかるように何か特別な運動では無さそうです。②の表を見てみると、運動を行い、心拍数が上がることによって、脳を活性化させています。したがって、心拍数がより上がる運動が効果的と言えます。さらに心拍数を上げると、脳にドーパミンという「やる気」を起こしてくれる物質が出てきます。運動は脳にたくさんの良い影響を与えてくれるのです。
 具体的には、ジョギング5分ほど、縄跳び4分ほど、バーピージャンプ30回などが例です。目的は心拍数を上げることなので、長く行う必要はありません。High Intensity Interval Training(通称HIIT)という、短い時間に負荷の大きい運動をするのが効果的で、HIITは全世代の記憶力や思考力、集中力を高めてくれます。


4.「立つ」仕草を取り入れる

 さらに集中したいあなたに脳をより効率的に働かせるもう一つの方法を紹介します。それは立つことです。勉強や作業をする時、当たり前のように座っている人は多いのではないのでしょうか。
 一時期、日本でもスタンディングデスクという立って作業ができる専用の机が流行していました。もともとスタンディングデスクなどは作業しながらカロリーを消費することが目的でしたが、メリットはそれだけではないことがわかりました。もちろん座って作業をするよりも、2倍近くのカロリーを消費することができます。さらに立って作業を行うことが私たちに与えてくれるメリットは思考力、集中力、記憶力、認知制御の能力、全てを向上させることです。
 勉強、作業中は間違いなく立つべきです。子供に集中させたいと思っている先生方や、保護者の方々は"立つ"を取り入れてみてはいかがですか。

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