学校で教えてくれない『お金のヒミツ』

『税金』のヒミツSecret of Tax

1:税金とは

今日の公民は税金についてだったけど、みんなは税金についてどのくらい知ってる?
たしか授業で知ったもの以外でもいっぱい種類があるんだよね。税金について聞かれたとき一番に思いつくのは消費税かな
年度末に聞く確定申告は税金に関するものっていうのをこの間テレビで見たよ
前に興味を持って調べたけど難しい言葉ばかりでよくわからなかったな…
今日授業でやったけど、税金はどういうものなのかっていうのは意外と知らなかったな~
確かに、俺も考えたことなかったかも…
うーん、じゃあ今日の授業のおさらいも兼ねて簡単に思い出してみようか

税金とは、
社会インフラの一つである上下水道や道路の整備などの公共事業のほかに、
公立の学校や警察や消防を運用するための費用
家庭や会社のごみの回収と処理の費用を支えたり、医療や年金などをはじめとした社会保障や、
国を発展させるための新しい研究・開発についても税金は使われています。

また、日本では貧困や飢饉などに困っている世界の国にお金を貸したり、インフラ整備や病院の建設とそこで利用する薬などを送ったりする「政府開発援助・ODA」という活動にも税金は用いられています。 警察や消防をはじめとしたさまざまな公共サービスの費用を軽減して利用できるのは税金があるおかげですね。

国税庁によると、国に入ってくるお金は6割を税金などが、4割を公債費という国が借りて集めたお金が占めています。
集めたお金の詳しい使い道としては3割が社会保障費などで、次いで2割を公債費として借りた借金や利子の返済1.5割を都道府県や市町村の財政を支えるために用いられています。





2:税金の種類について

気づいてなかっただけで、意外と身近なところに税金で作られたものがあるんだね
社会保障や社会福祉だけじゃなくて、教育とか警察…国の防衛にも使われてるんだ
俺たちの生活はいろんな税金に支えられてるんだな~
税金についてはおさらいできたね。それじゃあ次に税金の種類についても思い出してみよう

税金は納める場所によって国税地方税の二つに分けられます。国税とは名前の通り国の機関である税務署に納める税のことで、地方税は都道府県や市町村に納める税のことです。

また、納める人によっても直接税間接税の二つに分けられます。
直接税とは税金を納めるように指定されている人と負担している人が同じ税金のことです。有名なものだと所得税住民税などがあります。
間接税は税金を納めるように指定されている人と負担している人が違う税金のことです。有名なものだと関税消費税があります。
そのほかの細かい税金の種類については以下の図の通りです。


今回はたくさんある税の中でも特に有名な「所得税」「消費税」の二つを紹介します。



3:所得税とは

税金の種類についてしっかり理解できたかな?
ばっちりだよ!それにしても本当にたくさんあるね。特に所得税と消費税はテレビとかでよく聞くかな
前に調べてみたことがあるんだけど、所得税は難しい言葉が多くてわかりにくかったんだよね
確かに、アダチの言う通りだね。難しい言葉ばかりでさっぱりわからないや。
じゃあ単語一つ一つを調べながら所得税と消費税についてみてみようか

所得税とは、個人の年間給料の合計収入から「給与所得控除」を引いた金額である所得に対してかかる税金のことを言います。
※給与所得控除…1年の給料などの収入額に対して一定金額を引くこと
また、所得税では累進課税制度と言って税金を納める人の課税対象額が増えるほど、より高い税を課す制度を採用しており、この制度は所得税のほかにも同じ国税で直接税である相続税や贈与税にも使われています。
※課税対象額…給料を得ている人が払うべき税金の計算の元となる金額


■確定申告とは?■

所得税といえば、テレビで確定申告は所得税が…って言っていた記憶があるよ
それじゃあ確定申告についてもみてみよう

年末によく聞く確定申告ですが、これは所得税に大きく関わっています。
確定申告とは一年間で生じた所得の金額とそれに対してかかる所得税などの値を計算することで、申告期限の2月16日から3月15日までに確定申告書を提出して、「源泉徴収」された税金や「予定納税」で納めた税金などの多すぎたり少なすぎたりを細かく計算し直す手続きのことです。

所得税などの確定申告の納税額は、
①(一年間の収入金額)―(収入から引かれる金額)=(所得金額)
②(所得金額)―(所得控除類)=(課税所得金額)
③(課税所得金額)×(所得税の税率)=(所得税額)
④(所得税額)―(*所得税額から差し引かれる金額)=(基本的な所得税額)
⑤(基本的な所得税額)×0.0021=(復興特別所得税額)
⑥(基本的な所得税額)+(復興所得税額)―(源泉徴収額など)=(所得税などの確定申告の納税額)
という形で計算されています。

※源泉徴収…社が給与や報酬から先に一年の収入にかかわる所得税を引いておくこと
※予定納税…所得税の金額が一定以上となるとされる人が先払いをしておくシステムのこと



4:消費税とは

前よりしっかり理解できた!
言葉一つ一つは難しいけど意味が分かればすんなり頭に入ってくるね
それじゃあ続けて消費税について知っていこう

消費税とは、商品を売買やサービス提供をすることにかかる税金で、2019年10月に以前の8%から10%に引き上げられました。
その際に「軽減税率制度」という制度が行われています。
また、ほかの税とは違い、全国民が平等に負担するものです。経済活動に対する影響も小さく、税収が変化にされにくいという特徴があります。ほかの税金の中でも未成年の私たちに特にかかわりの深い税金の一つです。
軽減税率制度…消費税率が引きあがったことにより、食費や新聞代の一部にかかる消費税を変更前の8%のままにしておく制度です。飲食店に行った際にテイクアウトと店内での飲食の二つで税率が変わるのはこれが関わっています。


しかし、以下のものは非課税対象になります。
①一時的なものを除いた土地の譲渡や貸し付け
②証券や支払い手段を譲り渡すこと
③利子や保険料など
④特定の場所で行われる郵便切手などの譲り渡し
⑤商品券やプリペイドカードなどの譲り渡し
⑥住民票などの行政手数料
⑦外国為替
⑧社会保険医療など
⑨お産の費用
⑩埋葬料と火葬料
⑪身体障害者用の物の譲り渡しや貸し付け
⑫学校の授業料や入学金など
⑬学校などの教科用の図書の譲り渡し
⑭一時的なものを除いたち住宅の貸し付け



5:税金の使い道

有名なものはこれでばっちりかな
飲食店に行ったときにテイクアウトか店内かで値段が変わっていた理由はこれだったんだね
うーん有名な税金の種類については分かったけど、使い道とかも税金の種類によって変わってくるのかな?
いい着眼点だね。じゃあさっき少し触れたけど税金の使い方について詳しく調べてみようか

税金は国税地方税によって使い道が変わってきます。

国税は先ほどざっくり紹介しましたが細かく分けると社会保障費が一番多く、続いて国債の返済と利子のための国債費、地方支援のための地方交付金設備など公的サービスのための公共事業費教育や技術研究用の文教・科学振興用のお金、国の防衛費、海外援助などの経済協力費の順番になっています。
(国債費と地方交付金・交付税を除いた支出を、「一般歳出」と言います。)


[国税の使い道]

社会保障費(約33%)

①国民が病気やケガや出産、失業に老齢と障害など生活を送るのが困難になるような事故に直面した際に国から一定の給付を配布し、生活を安定させるために強制的に加入される保険制度である医療保険や年金制度、介護保険の総称である社会保険

②障害者や片親の家庭などの社会生活において他に比べ負担の大きい国民がそれを克服し、安心して社会生活を営めるようにする支援制度である児童福祉と社会福祉

③健康で文化的な最低限度の生活を保障し、自立を援助する生活保護制度をはじめとした公的扶助

④医療サービスや、病気の予防、健康づくりなどを働きかけるために用いられる保険事業や子供が安全に生まれて育てられるための母子保健、食品や衣料などの公衆衛生の管理などの保険医療や公衆衛生


国債費(約24%)

①公共事業費や出資金や貸付金の資金調達のために発行される建設国債

②建設国債を使ってもお金が足りないと考えられるときに公共事業費など以外の支出に充てる資金調達を目的とした特別な国債である特例国債(赤字国債)

③東日本大震災をきっかけに作られた復興のために必要な資金調達に関する法律に基づいて、そのために必要なお金のもととなる税金などを集めきるまでのつなぎとして発行される復興債

④CO2の排出量の少ない社会を実現するために行う施策に対しての先行投資を支援するために、温室効果ガスが減った結果がもたらすものを裏付けにして発行される脱炭素成長型経済構造移行債(GX経済移行債)

⑤子供が健全に育つための政策を根本的に強化するために、安全な財源を手に入れるまでのつなぎとして発行されえる子供・子育て支援特例公績(子供特例債)

⑥普通国債を返すためのお金の一部を借り換える資金調達のための借換債

の六つからなる普通国債と、

財政投融資を運用するための資源調達のときに国が発行する債券である財政投融資特別会計国債(財投債)

に大きく分けられる。

※財政投融資…国が発行する民間では対応が難しい資金供給や大規模プロジェクトを実施するための投融資活動


地方交付税交付金(約15%)

三番目に多い地方交付税交付金などは地域の経済状況によって発生する地方公共団体の財政格差を減らすために支出されるお金です。 主に
①警察・消防の運用費 総額約5兆円
②ごみの回収・処理費用 総額約2兆円
③国民の医療費の負担額 総額約17兆円
の三つが身近な財政支出になっています。


公共事業費(約5%)

四番目に多い公共事業費は道路や上下水道、公園や河川の堤防など国民の生活や社会活動の基礎となる施設を整備するために使われています。
公共事業関係額の内訳は円グラフの通りです。 1番多いのは道路の整備費で約27%、次いで町の整備や住宅支援で約22%となっています。


教育や技術発展の費用(約5%)


五番目に多い教育や技術発展の費用
①教科書の配布や国公立の大学や私立学校の援助のための教育復興助成費が2兆3000億円で約40%
②公立の小中学校の教員の給料やなどの内、三分の一を負担している義務教育費国庫負担金が約1兆5000億円で約28%
③宇宙開発や海洋開発などの科学技術の発展のための科学技術振興費が約1兆4000億円で約25%
の三つに大きく分けられています。




[地方税の使い道]

地方税は各都道府県によって変わります。

例としては大分県では、
県をより良いものにするための政策作りなどに用いる総務費、
年配の方や体の不自由な方や子育て世代を手助けするために使う福祉生活費、
県民の健康や県の環境をきれいにするために使う保健環境費、
企業やお店が盛り上がるように新しい取り組みを応援することや仕事を探している人の手助けをする商工費・労働費、
農業・林業・水産業・畜産がさかんになるように手助けする農林水産業費、
続いて河川敷の雑草狩りや道路整備用の土木費、
犯罪者の逮捕や交通事故防止活動の予算などに用いられる警察費、
学校を作ったり校舎を直したりするのに使う教育費、
県議会に用いる議会費、
県が道路などの建設のために借りたお金を返したりするために使う公債費、
災害が起こった時に破損したところを即急に直すために用いられる災害復旧費

など、主に11種類の使い方があります。ぜひ住んでいる県の地方税について調べてみましょう。




6:各国の税金

地方税の使い方は各都道府県によって変わってくるんだね
さっき私たちの暮らす県の地方税の使い方を調べてみたけど、今度は違う都道府県も調べてみるのも面白いかもね
日本の税金については分かったけどほかの国はどんな税金の制度なんだろう
各国の税金の国民の負担率はたしかルクセンブルクが一位だね
確か昔地理の授業で北欧は税金が高いって習ったはず…
みんないい考えだね。それじゃあ日本にとって身近な国であるアメリカを例に挙げて調べてみようか

アメリカの税収は大部分が国民の間接税により賄われているほか、消費税を財源としてあまり頼っていませんが、州政府や地方政府が消費税に近しい税金を課していることもあります。

歳入は主に個人所得税社会保障税法人税などをはじめとした、特定の品目に対する消費税や関税などから成り立っています。

歳出保健福祉省社会保障庁国防総省がその大半を占めています。
※保健福祉省…アメリカにおいて高齢者や障碍者に向けた公的医療保険や、低所得者に向けた医療プログラムを担っている、日本の旧厚生省にあたる機関です。
※社会保障庁…公的年金を担っている機関です。

また、歳出は義務的経費裁量的経費に分けられ、義務的経費は法成立後にその内容に含まれている支出が自動的に承認される経費のことを、裁量的経費は支出するためには毎年歳出予算法により予算が決められる必要があり、国防費や機関の運用、国際活動などの連邦政府の動きにかかわる活動に用いられる経費のことを指します。

ここでは、アメリカの所得税をピックアップして紹介します。
アメリカの個人所得税連邦個人所得税州所得税の二種類があります。
さらに、日本と違って個人でも確定申告をしないといけないのと、アメリカの所得税は居住者か否かと税金の種類によって変わっています。提出する際は、申告ツールによって税務報告書を作成して、期限までに電子ファイルなどで提出する形になります。
逆に日本と同じ点は、所得によって税率が変わることです。しかし、日本の最高税率は45%ですが、アメリカの場合は37%と日本に比べて低めに設定されています。



アメリカはこんな風に税金を集めて、使っているんだね
日本の税金の制度と違うとこと同じとこ、それぞれあって面白いね
今度個人で気になった国の税金制度を調べてみようかな
いいね。修学旅行で行ったシンガポールとかどうかな?
面白そう!早速寮に帰って調べてみるよ!



7:まとめ

今回は税金について調べてみたけどみんなどうだったかな?
難しい言葉を理解するのは大変だったけどこれで大人になっても大丈夫かも!
日本のいろんな種類の税金からほかの国の税金まで、初めて知ることばっかりですごくわくわくした!
でも一気にはおぼえきれないなあ
それじゃあ簡単にまとめてみよう!

税金は私たちの生活の多くを支えるだけでなく、いろんな国の支援にも使われています。

納める場所は国税地方税という二つの場所があり、納め方は直接税間接税という二つのやり方があります。

直接税の一つである所得税はかかる場所ややり方によってたくさんの種類がある税金で、年に一回の確定申告書に計算した値を提出します。

間接税の一つの消費税は売買やサービス提供に対してかかるみんな平等に負担する税金です。

覚えることややることがたくさんある税金ですが、何のために集めるのかしっかり理解して、きっちり納税しましょう!



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