Thinking

自動車の渋滞について

車を運転することができない僕たちにとっても悩みの種となるのが渋滞にはまってしまうことです。

長期休みにさあこれから旅行だー!
というときなどに高速道路にのったのに車が動かない…となるとトイレには行きたくなるし、暇だし、イライラするし、暇だし、暇だし…
と様々な問題が発生してしまいます。笑

このページでは、そんな諸悪の根源の“自動車の渋滞”について数学、科学的な面から渋滞が起きてしまう仕組み、解決する方法、簡単な実験などを紹介しています。
これらを通して車をまだ運転できない高校生や中学生、小学生の皆さんには是非とも渋滞にはまって発狂しているお父さんに教えてあげていただきたいなと思います。


渋滞とは?


渋滞とは難しい言い方をすると、「密度の増加とともに流量が減少する状態」のことです。

車が混んでて動けないというだけでは曖昧なのでこうした定義があります。
流量というのはある地点を5分間に何台通過したかという意味です。
流量密度の基本図というものがありましてそれによると1km(1000m)に25台ぐらいの密度が最大の流量ということになります。
1000mで25台ということは計算好きな人とかはもうすでに計算してしまったかもしれませんが、車間距離は40mが渋滞しないギリギリだということです。
高速道路だと1kmに25台の密度のことを「臨界密度」と呼びまた、40mの車間を渋滞開始の
「臨界距離」と呼びます。

ちなみに現在の高速道路の渋滞表示は時速40km以下の状態で走っているときに表示されるようですね。


実験1~渋滞の先頭はない?!~


渋滞にはまると僕は「先頭は何ノロノロ走ってるんだよ~、早くしてくれよ~」みたいなそんな風に思います。
ですが実は渋滞に明確な先頭はありません。
そのことを確かめるために少し実験してみました。



マス目を道路としてまた、ミニカーを自動車とします。
1マスを一秒間でミニカーが進むことができる距離と仮定すると左図のように前が1マス以上空いていないと進むことができないということになります。
つまり前に車があったらその後ろの車は1秒間進むことができません。

なお、下の写真は一秒経過ごとのコマ画像です。



先頭の車から1,2,3…とすると、1の車が発進が1秒遅れたとしてそのマスに留まります。
2,3は問題なく1マス進みます。
すると1と2の間がなくなります。これで最初の渋滞が発生です。
そこから1秒経過すると今度は前に1があって1秒間進めない2がそのマスに留まり、
2と3の間がなくなってしまいます。
このようにして渋滞の先頭はどんどん入れ替わりながら後ろへ伝わっていくので、誰しも一瞬は渋滞の先頭になっていることがあるのです。
なかなか興味深いですよね。

渋滞を回避する方法はあるのか!?


ここまで読んでくださった方々のなかには、
「臨界距離(車間距離が40mの状態)より短いときでも場合によっては渋滞にならずに上手いこといって渋滞にならないのでは?実際に臨界距離より短い状態でスムーズに走れているよ」
などといったことを思った方もいるかもしれません。

実はこのような、本来なら渋滞してしまうはずの密度のなか走ることができる状態を「メタ安定状態」といいます。
「メタ安定状態」の特徴は車間距離が近いことによって緊張感があり、だいたい10分で必ず渋滞になってしまうことです。

例えば、「メタ安定状態」で走行しているときにその中の1台がなんらかの理由で減速したとすると、その後ろの車は少しブレーキを踏むので連鎖的に前の車から順に減速していきます。
そうすると結果的に十数台後ろの車が遂には完全に止まってしまう自然渋滞が起きてしまうのです。
 また、自然渋滞の多くはサグという高低差のある道路の部分で起こることが多いといわれています。
人は運転中に4%ほどからでなくては坂の傾斜に気が付くことができません。
しかしサグはそれ以下の緩い坂も多いです。
人が気付かないということは、サグ部分を走っている際に実際には減速しているのに気が付かずにアクセルはそのままで走ってしまうことになります。
サグでの少しの減速が後方の車へ伝わっていき、徐々にブレーキが大きくなっていき十数台後には大きな渋滞となってしまいます。

その他にもサグでは車の速度が遅くなるため急な車線変更が多くなります。
いきなり車線変更することによって追い越し車線の車もブレーキを踏み同様に渋滞が発生してしまいます。
急な車線変更は相手の車線の車間距離を急に縮めてしまうので密度が上昇してしまい臨界密度に達してしまい渋滞が起こってしまいます。
 ではそろそろ本題の渋滞の回避について考えていきたいと思います。

実験2~渋滞の消滅~

 
今回は既に発生している渋滞がどのようにしたらなくなるかを実験して調べてみました。
なお、一マスは便意上40mと仮定してあります。下の写真は1秒経過ごとのコマ画像です。
1) 設定条件:実験1と同様に前に1マス以上のスペースがあれば問題なく進む。ただし渋滞の先頭になった車は2秒間発進が遅れる。後ろから来る車は2マス空いて来る。



先頭の車が実験1と同様に変化していっていることがわかります。
2秒後に先頭の車が渋滞から抜けても2秒間で後ろから来た車も渋滞の列に加わってしまうため渋滞の列の長さは結果的に変わらないのでこれでは渋滞は解消されません。
そこで設定条件を少し変えてもう一度実験してみました。

2)設定条件:渋滞の先頭になった車は1秒間発進が遅れる。後ろから来る車は3マス間を空ける。
それ以外の条件は1)と同じ。




初めの写真では4台の渋滞が発生しています。
先頭の車が抜けて後ろからの車が渋滞に加わるタイミングがずれるのでだんだんと渋滞の列が減っていきます。
先頭の車の発進が1秒間遅れるので車間距離が2マスになり、それが連鎖していくので車間距離が「メタ安定状態」を脱出するので渋滞が解消したといえます。
実際の渋滞とは異なるかもしれませんが、渋滞の解消を考えるという実験なので成功です。


渋滞を回避する方法はあるのか?!(続き)

先ほどの実験からもわかるように渋滞の回避、解消のポイントは車間距離を詰めない、一定に保つことです。
実験2の2)では後ろから来る車と渋滞の最後尾との間を3マスとったので渋滞を吸収することができたというわけです。
小さな渋滞であれば個人個人が車間距離を詰めないようにすれば個人レベルで渋滞を回避することができるということですね。
車間距離を一定に保つことは流量を一定に保つことでもあります。
そしてこれには公式があります。

速度÷車間距離=流量
[v] [s] [f] ←任意で設定しました。

理論上はこの流量の値を保っていれば後ろに渋滞は発生しません。
例えば、v=100, s=50, とすると100÷50=2 で流量は2となります。
今度はv=80, s=40とすると80÷40=2 で流量は同様に2となります。
つまりは前を走っている車が減速したとして、時速が減少しても車間距離を調整して流量を減速前と同じにすれば渋滞は起こらないのです。
これなら普段の運転でも使えそうですよね?(車間距離を目視で測るのは難しそうですが…)

渋滞を引き起こす原因にはあきらめ感もあります。渋滞を引き起こす原因にはあきらめ感もあります。
高速道路などで渋滞に巻き込まれたときに
「どうせ無理だよー」「自分一人じゃ解消できないでしょ。。。」
といった感情から走り出す前の車が進んでも少し間があってから発進してしまい、結果的に渋滞をさらに大きくしてしまっています。
渋滞の仕組みを理解して渋滞にもNEVER GIVE UPの人が増えてくれるといいですね。

最後に最も現実的な渋滞の対策を提示してこのページを締めたいと思います。
ブレーキの回数をできるだけ減らしてください。
そしてサグでは注意深く速度計を見て、速度が下がってきていたらアクセルを踏んで調節してできるだけ後ろの車たちにブレーキをかけさせないようにしてください。

アメリカと違って日本は道路が7車線もあるわけではないのでみんなで協力して諸悪の根源を退治しましょう。

参考文献:大人の科学マガジンvol.33


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