酸性雨
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石炭や石油などの化石燃料の燃焼などによって、硫黄酸化物や窒素酸化物が大気中へ放出されることにより、これらのガスが雲粒に取り込まれて複雑な化学反応を繰り返して硫酸イオン、硝酸イオンなどに変化し、強い酸性を示す降雨または乾いた粒状の物質として降下する現象です。
酸性の強さをしめす尺度としてはPH(ピーエィチ)が使われています。PHの値が小さくなるほど酸性が強く、中性はPH7です。
一般的にはPH5.6以下の雨が酸性雨とされています。
A2 硫黄酸化物と窒素酸化物です
硫黄酸化物は…
工場や火力発電所で、石炭などの化石燃料中の硫黄分を燃焼することによるもののほか、火山の噴煙などの自然現象によるものなどがあります。
窒素酸化物は…
燃焼用空気の中の窒素が高温状態で酸化されたり、燃料の中に含まれている窒素化合物が酸化されて発生するもので、ボイラー、燃焼炉などの固定発生源からのものと自動車の排出ガスが原因です。
Q3 影響は?
@湖沼への影響
スウェーデン
8万5000ある湖沼のうち2万1500の湖沼が酸性雨の影響をうけています。また、1万の湖沼はすでに酸性化して、そのうち9000の湖沼では魚類の生息に悪影響を与えています。
ノルウェー
1300平方キロメートルの地域では魚がいなくなり、さらに同国南部の2000平方キロメートルの地域で魚類の生息が脅かされています。
カナダ
4000の湖沼が死の湖となり、サケが住んでいた河川でもサケの姿が見られなくなっています。
米国
ニューヨーク州アジロンダック山を中心に約220の湖沼が酸性化し、カリフォルニア州、米国北西部および、ロッキー山脈地帯の一万400の湖沼のうち3分の2以上は酸性化する恐れがあるといわれています。
A森林への影響
↑ドイツ、カッツェンコップ山頂の酸性雨による森林被害(地球環境キーワード事典)森林被害は、酸性雨に加えて、硫黄酸化物、窒素酸化物、オゾンなどの大気汚染物質、病虫害など様々な要因が複合的に作用して発生していると考えられています。
森林への影響は、ドイツのシュバルツバルト(黒い森)などヨーロッパや北米に多いです。酸性汚染物質が直接森林に影響を与えている典型的な例として、「黒い三角地帯」で知られているチェコ西北部、ポーランド南部、旧東ドイツ東部の山岳地帯があります。この地域は硫黄含量の高い石炭が火力発電等に利用され、多量の硫黄酸化物を含む排煙が大きな被害を与えました。
アジア地域では、中国の重慶市近郊で、酸性汚染ガスによる健康被害や森林被害が起きています。東南アジア地域全体の酸性物質の排出量の伸びは世界最大で、将来、生態系への影響が懸念されています。
B歴史的な遺跡、建物・石像への影響例:ローマの遺跡、ドイツのケルン大聖堂など…
↑ポーランドの古都、クラクフの酸性雨被害(地球環境キーワード事典)C地下水の酸性化が進んでいる(ノルウェー)
D赤潮への影響(米国のチェサピーク湾)
日本では…
10年前ぐらいから、木がかれたという報告がされています。木が枯れるのは、土の中の微生物が死んで、根っこに栄養が十分いかなかったり、葉が光合成(植物が太陽の光をつかって、でんぷんを作ること)が出来なくなったりするからなのです。酸性雨の影響を受けやすいと考えられる湖沼があります。また、酸性雨で、川や湖の魚が卵の産まなくなった例もあります。身近な例としては、コンクリートが白くなったり(セメントの成分が、雨で溶けてしまって起こってしまった)、銅像も青いさびがでていることあります。人体には今のところ被害はでていません。しかし、雨が目に入って、チカチカすることはあるそうです。
PHが2以下になると生物が生きていけなくなってしまいます。
〜酸性雨の進んでいる地域〜
「酸性雨には国境がない」
有害物質は気流などによって長い距離を運ばれ、有毒ガスの発生源から、1000キロメートル以上も離れたところで、酸性雨が観測されることもあります。このため、酸性雨の発生源をさかのぼって、調査するのは大変なことで、問題解決の大きな障害となっています。
A4
1969 OECD環境政策委員会で初めて問題が提起されました。
1979 「長距離越境大気汚染条約」締結
(1995年12月現在40ヶ国が批准)その後、この条約をもとに、酸性雨の原因物質である硫黄酸化物、窒素酸化物を削減するための議定書が締結されました。
日本の対策1993 「東アジア酸性雨モニタリングネットワーク構想」を提唱
国境を越えた広域的な大気汚染問題について、東アジア地域における取り組みと国際協力を推進するために環境庁によって提唱されました。
排気ガスを減らすように心がけたりして、空気を汚さないように一人ひとりが気をつけることが、一番たいせつなことでしょう。
できるだけ自動車の利用を控えましょう