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新人文主義

サヴォナローラ

 

新人文主義(新プラトン主義、ネオプラトズム)

新たなプラトン哲学の誕生

 新人文主義は、プラトン哲学研究者プロティノスによって発見されました。新人文主義とは、プロティノスが「一者」と呼んでいるものが世界には存在し、世界のいろいろなものは全てそこから流れ出し、我々を形作っているという理論です。この「一者」はプラトンが言うならば「イデア」キリスト教で言うなら「神」であるとすることができます。
 つまり、昔の哲学とは「世界は何でできていて、どういう仕組みになっているのか」ということが最初の疑問なのです。新人文主義では「一者というものが存在し、そこから流れ出てくるものによって世界はできている」と説明しているわけなのです。
 一者から流れ出るものをプロティノスは「ヌース」と呼んでおり、これは世界を創るためのもとだと考えられています。これは「世界には一者というものが存在しており、その一者は最高の良さを持っている。良さを持っているものは全てが美しく見える。そしてその美しいところから流れ出るものがヌースなのだからそのヌースは美に満ちている。」と考えられています。
 私たちはこの「ヌース」によって「一者」とつながっているわけなのですが、このヌースが持っている「美」を愛することによって元である一者。つまり神になることができるのです。そして、一者を愛すれば愛するほど、神の領域に近づくことができるのです。最終的には、神と一つになる「神秘的合一」という状態が最高とされています。
 プロティノスは、愛を持ち、人間が美(芸術)の世界を勉強することによって、神と世界と我々とをつなぎ、このサイクルに参加することができると考えたのです。
 そして、このような生き方がもっとも幸せであり、プラトンの言う真理の道にあっているものだと考えました。

プラトン・アカデミー

 マルシリオ・フィチーノはこれを見て、このような考えこそが、キリスト教の本当の意味だと考えました。フィチーノと仲間達はプラトン・アカデミーという集まりをフィレンツェに開き、そこでプラトンやプロティノスの本をラテン語に翻訳しました。さらに『プラトン神学』や『愛について〜プラトン「饗宴」注解』などの本を書いて、当時の人々を味方につけました。こうした考えは「人間は神によって創られ、地上では神に感謝するだけの存在ではなく、芸術、技術の分野では、人間も神と同じよう、創造に参加できる存在として、世界中の人間が生きる意味の確認」を行いました。ルネサンスは芸術分野の発展も大きいのですが、このような新しい哲学をキリスト教の中にとりいれた動きがあったからこそ、現代の私達が感動するような、豊かな内容を生んだ芸術が現れてきたことを理解することが大切なのです。このように、「プラトン的」な考え方が広まったルネサンスの絵画は、よくプラトンの本に登場するギリシア神話の神を取り上げるようになりました。

新人文主義者(プラトン・アカデミー)

 メディチ家の保護を受け、プラトンの本を翻訳しました。
 メディチ家の医者の子供として生まれ、コジモ・ディ・メディチに才能を見つけられ、コジモからギリシャ語・ラテン語を学びました。コジモが創立したサークル、「プラトン・アカデミー」の中心人物となりました。
 フィチーノはプラトン全集をラテン語に翻訳して当時知られていなかったプラトン哲学を世におくりだしました。そしてフィチーノによって、新人文主義が人々に伝えられ、今後の世界が大きく変わっていきました。

マルシリオ・フィチーノ

 

 「人間の尊厳」を高らかに主張した人物です。近年では、ピコのもちいる「尊厳」には「順に並べる」という意味しかなく、今でいう「尊厳」の意味はなかったとも言われています。ピコは人間とは、なんにでもなれる変幻自在のカメレオンだと考えました。また、人間は小さな宇宙であり、その中には神の力さえ含まれていると考えました。人間が動物と違っているのは、自由な選択によって神のようにも獣のようにもなることができる点だとして、「人間の尊厳」を主張しました。

ジョヴァンニ・ピコ・デラ・ミランドラ

 

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