English

海洋ゴミの現状


そもそもプラスチックって?

プラスチックとは、「石油から生まれた合成樹脂」のこと。合成樹脂とは、高分子化合物からできたもの。簡単に言うと、人間の手で製造された物質のことです。熱や圧力を加えることで加工され、できた製品は私たちの生活に欠かせないものになっています。

マクロプラスチックとマイクロプラスチック

海に流れるプラスチックには大きくマクロプラスチックマイクロプラスチックという2種類のものがあります。目に見える大きさのプラスチックがマクロプラスチック、さらに細かくなったもの(5mm以下)がマイクロプラスチックと呼ばれています。また、マイクロプラスチックは最初から細かいものと、海に出た後で摩耗していったものに分けることができます。それぞれ発生源や生物に及ぼす影響が異なるので、海洋プラスチックのことを考えるうえでとても大切になってきます。

「プラスチックを海に流してはいけない」のはなぜ?

今、海に年間800万トンのプラスチックが流出しており、2050年には海洋中のプラスチックが、魚の量をも上回るといわれています(The New Plastics Economyより)。さて、なぜプラスチックが海に流れることはいけないのでしょうか。
それは、プラスチックが自然分解されないからです。半永久的に、地球のどこかに存在し続けるからです。現在ほとんどのプラスチックの原料は石油です。つまり、プラスチックは人間によって作られたもの。木材など、天然有機材料であれば、分解できる微生物が存在するため、二酸化炭素と水に分解することができます。しかし、少なくとも石油由来のプラスチックを分解できる微生物は、自然環境中に存在しません。また、高分子化合物であるプラスチックは、とても丈夫です。製品としては長所になる丈夫さは、ごみとなった時、大きな障害となります。

  

今、世界でプラスチックはどれくらい作られているの?

グラフ
図1.Our world in data より引用

上のグラフは、プラスチックの年間生産量を表しています。1950年の200万トンと比べると、2015年には3.8億トン、およそ200倍にもなっています。また、THE NEW PLASTICS ECONOMY RETHINKING THE FUTURE OF PLASTICSによれば、今後20年のプラスチック生産量は現在の2倍になる予想もあり、今後プラスチックの生産はますます増加傾向にあることがわかります。

プラスチックって、どんなものに使われているの?


加工しやすく、かつ安価なプラスチックは幅広い分野で活用されています。円グラフを見ると、特に包装材の割合が大きいことがわかります。UNEP(国連環境計画)の『SINGLE-USE PLASTICS』によると、日本の包装容器の一人当たり消費量は、アメリカに次いで世界2位。決して他人事ではありません。現代の日本社会では、過剰な包装が当たり前になってしまっているのです。

いらなくなったプラスチックはどうなる?


この年間生産量(世界のプラスチックの生産量)を合計すると、今までに生産されてきたプラスチックは、2015年の時点で78億トンにも上ります。その中で、リサイクルが9%、焼却処分が12%、埋め立て処分と自然環境中に散らばっているものが79%というデータがあります(Single-use plasticsより).つまり、膨大な量のプラスチックのほとんどが、地球のどこかに散らばっていることになるのです。