星の基礎知識

夜空を見上げるとたくさんの星がキラキラ輝いています。
昔の人は、空に穴があいていて、そこから天国の光がもれるものだと考えました。

星座を作っている星は「恒星」と呼ばれる星で、星自身が熱を出して激しく光り輝いています。
恒星(太陽を除く)はいずれかの星座に属しています。
 
 
 

★星の大きさ


夜空に見える小さな恒星は実際、どのくらいの大きさなのでしょうか?地球や太陽、木星と比較してみましょう。
太陽の直径は、139万qで、地球を横に109個並べられる大きさです。また、太陽系で一番大きな木星の約10倍です。(身近な物にたとえてみると、地球を1cmのビー玉としたとき、木星は10cmくらいのソフトボールになり、太陽は1mとかなり大きなボールになります。)
それらに対して、おおいぬ座のシリウスは太陽直径の1.8倍で、うしかい座のアルクトゥルスは24倍です。さそり座の1等星アンタレスは230倍で、くじら座のミラは440倍。オリオン座のベテルギウスになると、なんと700倍以上になります。

                                                     



★星の距離


地球から星座を見ていると、同じ平面に星があるように見えます。これは星々があまりにも遠くにあるからです。実際の星は一つ一つ違う距離にあるのです。
しかし、人間にとって宇宙はあまりに広大で、いつも使い慣れている単位では表わしきれません。そこで、光のスピードを使って距離を見てみましょう。光は1秒間に地球を7周半(約30万km)します。その光が1年かかって進む距離が1光年(約9.5兆km)です。
光のスピードで、月までは1.3秒、あっという間に辿り着きます。太陽までは、およそ8分です。いちばん近い恒星、ケンタウロス座α星までは4.4年で辿り着きます。さそり座のアンタレスに至っては、550年もかかります。
地球よりはるかに大きい恒星ですが、私たちからは小さな光の点に見えます。それだけ星は遠いところに存在しているのです。

 
 
 
 

★星の明るさ


星には明るいものから暗いものまで、いろいろな明るさを持ったものがあります。一般的に星の明るさを示すのに、「等級(とうきゅう)」という単位を使います。
明るさを決めたのは、2000年以上前のギリシャ人ヒッパルコスで、目で見える最も明るい星を1等星、最も暗い星を6等星としました。19世紀に、 ジョン・ハーシェルが1等星が6等星の100倍の明るさの違いがあることをつきとめました。1等級明るくなるごとに 2.5倍明るくなるのです。



私たちの肉眼では1等星から6等星までしか見ることができませんが、1等星よりも2.5倍明るい星は0等星、さらに2.5倍明るい星は-1等星のように、マイナス符号をつけてあらわします。恒星のなかでもっとも明るい「おおいぬ座」のシリウスは、−1.44等級、「こと座」のベガは0.03等級となっており、数字が小さいほど明るく、マイナスがつくともっと明るいことを示しています。
〜実視等級と絶対等級〜
地球から見た時の星の明るさを実視等級といいます。
その明るさは、距離や星そのものの明るさは無視した、見たままの明るさです。
それに対して、全ての恒星が地球から10パーセク(32.6光年)の距離に置いたと考えた時の明るさを絶対等級といいます。
おおいぬ座のシリウスは、実視等級で−1.46等級ですが、絶対等級になると1.45等星になります。

 

★星の色


星はいろいろな色で輝いています。肉眼で見ても何となく分かると思います。
色の違いは恒星の表面温度の違いをあらわしています。温度の低い星ほど赤く、また温度の高い星ほど青白く見えます。赤っぽい星は3000度くらいで、黄色っぽい星は6000度(太陽の表面温度と同じくらい)、青っぽい星は1万度くらいの星です。

                                               (▼クリックで詳しい説明!)
しし座の1等星 レグルス うしかい座の1等星
アークゥルス
表面温度 13000度 表面温度 4200度
撮影:津村光則
 
 

★星の名前


夜空に見えている星には、すべて名前があります。現在使われている星の名前の多くはギリシャ語、アラビア語、ラテン語です。日本独特な呼び名もあり、オリオン座のベテルギウスは平家星、リゲルは源氏星などと呼ばれています。ここでは、よく使われる3つの名前の呼び方について紹介します。

  *バイエル符号
 北斗七星
1603年に、ドイツの天文家のバイエルが星座ごとにギリシャ文字をあてはめました。今は、ギリシャ文字は24個、足りなくなると英語のアルファベットを使っています。バイエルは明るい星から順に「α、β、γ…」と命名していきました。なので、その星座で最も明るい星はほとんどがα星ということになります。
たとえば、「夏の大三角形」を形作る3つの星は、

      ・はくちょう座α星   (はくちょう座で最も明るいデネブ)
      ・わし座α星       (わし座で最も明るいアルタイル)
      ・こと座α星       (こと座で最も明るいベガ)
                                          
                                       と呼ばれます。

しかし、星座によっては明るさとは関係なしにバイエル名がつけられたものもあります。北斗七星 は、ひしゃくの先から柄に向かって、α→β→γ→δ→ε→ζ→ηの順に命名されていますが、7つの星を明るさの順に並べ替えるとε→α→η→ζ→β→γ→δとなります。他にもこのように名前がつけられている星座はいくつかあります。

  *フラムスチード番号
    はくちょう座
18世紀に、イギリスの天文学者ジョン・フラムスチードが、星座とは関係なく、西から順にすべての星に番号を振りました。バイエル符号より数が多く、ほとんどの星に名前がついています。
たとえば、             
            
       ・はくちょう座50番星(はくちょう座のデネブ)
       ・おうし座21番星
  
                                 などと呼ばれます。
                                                                                                 
もちろん、バイエル符号とフラムスチード番号は全く別々に命名されたものなので、バイエル名のついている恒星にもフラムスチード番号がつけられています。

  *固有名
とても明るく目立つ星に付けられている、古代の人々が付けた星座や星の見え方にちなんだ名前です。
たとえば、

     ・はくちょう座のデネブ
     (「デネブ」は「おしり、しっぽ」という意味のアラビア語に由来している)
     ・おおいぬ座のシリウス
     (「シリウス」は「焼き焦がす、火花を散らす」という意味のギリシア語に由来している)

ギリシャ文字の読み方