電磁誘導方式

電磁誘導を用いた方式は最も身近なワイヤレス給電の方式の一種です。
他の方式を含め現在実用化されている技術のなかでは主要となっている方式でもあります。

この方式は送電側と受電側で発生する誘導磁束を利用して、電力をおくることです。
このときの効率は、相互インダクタンスというものに関係してきます。
これは、電圧と電流変化率との比率を表すものです。

つまりひとことで言ってしまえば、
電気伝送の効率は送電側と受電側の距離に大きく関係があるということです。

そのため小さなコイル同士で給電を行う場合、
直に接していないだけで、ワイヤレスという割にはごく近距離でないと電力を送電できません。

今現在、この技術が使われている身近なものは、suica、IH調理器具などです。
それでは原理について詳しく説明していきます。

原理

この方式では、その名の通り電磁誘導を用いて給電を行います。
磁場の変化によって回路に電流を流す原動力が起こる現象を応用します。

送電側、受電側のどちらにもコイルが埋め込まれている必要があります。

それらのコイルを近づけ、送電側のコイルの中に交流電流を流すことによって、
送電側と受電側のコイルのなかに磁束が発生します。

その磁束の発生により、隣接している受電側のコイルのなかの磁束が変化します。

コイルの中の磁場が変化することによって、受電側のコイルに電流が流れるという仕組みです。

原理2

@送電側と受電側のコイルを近づける。
       
           ↓

A送電側に電流を流す。

 送電側と受電側のコイルの中に磁界が生じる。
         
           ↓

B受電側に誘導電流が生じる。
   
      


効率

初めに触れたとおり、この給電方法を用いる際は、
送電側と受電側のコイルを至近距離まで近づけなくてはなりません

またコイルなどで使われる鉄や銅などを内蔵しなければならないため、少々重くなってしまいます。
さらに多少ですが発熱します。

そしてなにより送電側と受電側のコイルの位置のずれによる給電効率の低下が考えられます。

これはただ単に近づければいいわけではなく

・お互いのコイルの位置と磁場をしっかりと把握する。
・効率よい伝送が可能なように重ねなくてはならない

ことを意味します。

たとえば携帯電話で電磁誘導方式をもちいたワイヤレス給電をする場合、
充電台のコイルと携帯電話のコイルがきれいに重なっていなければ充電効率が下がります。
台の上ならどこでもいいというわけではないということです。

現在では、送電側と受電側両方のコイルの周波数をあわせること、それに加えて機械本体の性能を向上させたことにより、送電効率は7割近くまで上昇しています。

これは、現在充電する際に行われる端子を使う充電と変わりありません。


実験

実験:コイルの中の磁界を変化させることによって発生する誘導電流を観測する。

道具:コイル、電流計、磁石


※クリックで動画が再生されます。再生を辞める際は背景をクリックしてください。 クリックで動画再生
結果:コイルの中の磁界の変化に応じてコイルに電流が流れた。

この実験から、磁界の変化に伴って、誘導電流が生じることが証明されました。

電磁誘導方式ではこの誘導電流発生のメカニズムを用いて給電を行っています。


利点

●金属による接点をもたなくなるため、サビることがない。
●防水、防塵が可能。
●水のあるところでの充電が可能。
●パットに置くだけで充電できる。




【参考】

TDK Techno Magazine

非接触電力輸送-wikipedia







 

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