最も遠くまで伝送できる電波方式
他の方式に比べ長距離間の電送が可能な方式です。他の方式は発信場所を中心に発生する磁場などを利用しています。
それらに比べこの方式は遠距離の伝送に長けています。
これは電波の一種であるマイクロ波の極めて高い直進性があってのことです。
マイクロ波は電波の項目にあるとおり、極超短波で波長が1cm〜10cmです。
これは電磁波の中で電波と定められている範囲の中ではかなり高い指向性、
言い換えるとまっすぐ進む特性を持っています。
機械の絡む部分を除いた電波自体の伝送速度に関しては、
マイクロ波はもさら高い周波数である可視光とほとんど同じである、
といえばわかってもらえるかと思います。
電波方式ではこのマイクロ波を発信して、アンテナで受信することで送電をしています。
やっていることは外から見ればデータのやり取りに似ていますが、
実際にはエネルギーのやりとりをしています。
送受信上の問題とその対策
送受信に関しては実用化するとなると問題になるのが送信方向の設定です。長い距離間で送受信するとなると、
その分送信側の少しのズレが受信側にとっては大きなずれになってしまいます。
そうなると両者を固定してズレを無くすなどしかありません。
しかし送電側は固定が可能としても、受信側がいつでも固定できるようなものだとは限りません。
例として電気自動車でワイヤレス給電を実用化しようと考えた場合、
固定できないシチュエーションが思い浮かぶかと思います。
これらを固定しようとするのではワイヤレス給電を用いた事で得られる
無線伝送という恩恵が半減してしまいます。
なにより送受信機器を固定するなら早くて高速な有線で充電します。
そこで使われているのは通信用の別電波です。
通信波によって位置を特定し、そこへ向けてマイクロ波を送信するように送電側を設計するわけです。
レトロディレクティブ方式でないと
レトロディレクティプ方式だと
このような位置特定をすることで精度を上げる方法をレトロディレクティブ方式といいます。
これはワイヤレス給電の3つの方式のような区分ではありませんが、
電波法式に関わる特に重要なことですので知っておいてください。
発信機器と受信機器
送信と受信は送信側が電気をマイクロ波に変換する機能とマイクロ波を飛ばす機能を一つにした機械。受信は形状は普通とは異なる平面的なアンテナを使います。
送信側は電力をマイクロ波に変換する際にどうしても無駄になってしまう電力が発生します。
これは物理的な機械を通す以上避けられないことです。
このロスをいかに減らすかもこの分野の課題となっています。
またアンテナといえば真っ先にパラボラアンテナのような形を思い浮かべる人もいるはずです。
平面的なアンテナを用いるのはマイクロ波は波長が短い事が関係しています。
パラボラアンテナのように傘を逆にさしたような形状のものは、
反射によって一点に電波を収束させる必要があるからそういう形をしています。
しかしマイクロ波のアンテナは波長が短く、収束させる必要があまり無いため、
平面的な形状をしているわけです。
以上で仕組みについて大まかな説明ができたので、それをまとめた画像をまとめてみましょう。
人体、環境への影響
結論から言うとほとんどありません。ワイヤレス給電に関連した問題点については問題点のページで説明しているため、
ここではマイクロ波単体が人体に与え得る影響に焦点を当てていきます。
マイクロ波は電磁波の中でも有害なγ線や強い紫外線(電離放射線と呼ばれています)とは異なり、
人体、環境への直接的な効果(ガンの誘発など)はありません。
正確には「否定出来ないが因果関係は薄い」と北米の研究所は報告しています。
電子レンジでマイクロ波が使われていてワイヤレス給電でもマイクロ波を使うということを知るともしかして体が沸騰してしまうのかと考えてしまうこともあるかもしれません。
しかし、電子レンジのマイクロ波は電子レンジ内の狭い範囲で500W以上の高出力で照射しています。
そして照射したマイクロ波は照射された物体に吸収されて熱を発生させるわけですが、
ワイヤレス給電ではこのように熱が発生することはありません。
しっかりと
「マイクロ波での伝送ではこの程度なら長時間照射されても平気である」
と定められている強さのマイクロ波を用いているため安心です。
【参考】
ウェブリオ「マイクロ波」
www.weblio.jp/content/マイクロ波
「マルチメディア・インターネット辞典」Dictionary of MultiMedia
http://www.jiten.com/dicmi/docs/k31/22647s.htm
電磁波についての参考サイト
http://homepage3.nifty.com/~bemsj/startCorce.htm