もっと楽しもう♪ガラスの博物館 別館
博物館めぐりの前に、当館特製の専用プリントをゲット!
博物館をめぐったら、ガラスの秘密、スペシャルクイズ!

ガラスの歴史 History


 最初に、ガラスの歴史のことについて
 学んでいきましょう。




 
昔はどんなガラスだったんだろう?

ガラスはどこで誕生したのか Birth

(1)ガラスの誕生
 ガラスの誕生はエジプトともいわれていますが、メソポタミアが
 有力と考えられています。   
(2)ガラスの技法                
 ・モザイク技法…内型と外型を作り、外型にガラスを敷き、
         内型をかぶせる技法です。    
 ・コア技法…粘土で作った芯に色ガラスを巻き、
       冷やしてから中の粘土を出す技法です。
                    

太古のガラス Ancient times

・紀元前5000年頃から、
 陶磁器や青銅器を作るときの材料として使われていました。
 紀元前1500年頃になると、メソポタミアやエジプトでは、
 「型押し法」という方法でガラスの器が作られました。
   

ローマとガラスの息吹 Breath    

 紀元前1世紀は、吹きガラスの技術が発明され、
 壺や花瓶が作られるようになりました。
 吹きガラスは、細い鉄のパイプの先にとけたガラスをつけ、
 息を吹き込んでガラスを丸く膨らませる技法です。
 今でも花瓶などをつくるときに見ることができます。

 この技法によっていろいろな形や大きさのガラスの容器が
 たくさん作られるようになり、
 メソポタミアやエジプトに広まるようになりました。 
 当初、貴重品だったガラスのコップも、
 普通の人が買えるようになりました。
 また、この頃に窓ガラスが誕生しました。 

 今でも使われている技術が昔にもあったなんてすごい!
 その後のガラスはどうなったのかな?


 

ヴェネツィアのガラス Venice    

(1)ヴェネツィア・グラスの誕生
 ローマ帝国が滅亡後、ガラス職人たちは周辺の国に移住し、
 独自のガラス製品を誕生させました。
 その中の一つ、イタリアのヴェネツィア共和国では、
 ヴェネツィア・グラスが誕生しました。
(2)ヴェネツィア・グラスの繁栄
 近世のヨーロッパのガラス市場は、
 ヴェネチア・グラスが占めることになります。
 この頃、エナメル絵付け技法が使われ、
 クリスタッロという透明度の高いガラスが発明されました。
 透明度が高く、レース・ガラスやミルフィオリといった技法を使った
 繊細なガラス製品が、ヨーロッパの宮廷や富裕層に迎えられました。
(3) 建築・工芸のガラス
 建築物にガラスが使われるようになると、
 建築物のガラスとガラス工芸は違うの道を歩むことになります。
 20世紀では、フルコール法やコルバーン法によって、
 板ガラスの大量生産ができるようになりました。

現代のガラス Modern times

 1960年代、アメリカはハーヴェイ・リトルトンらによって
 「ガラスを使った自由な芸術表現を目指す」という
 アトリエ・グラス運動が起こっていました。
 このおかげで現在は、工場に頼らず、個人が小型のガラス炉を持ち、
 自分のアトリエで創作活動ができるようになったのです。
 そしてガラスを作る技術は西ヨーロッパに広まり、
 多くの国で発展していったのです。

日本にガラスが伝えられたのは? Japan

 日本にガラスが伝わったのは、弥生時代といわれています。
 最も古いといわれる弥生時代のガラス玉の遺跡が見つかっています。
 日本で作られたものか、わかっていません。
 ですが、ガラス炉が発見されており、
 2000年前には確実に日本でガラスの成形や加工が行われていました。



 
こんな昔にガラスが伝わったんだね。



 ここから日本のガラスの歴史がはじまるんだよ。
 さあ、どうなったか見に行こう!

祈りの象徴のガラス Prayer

 飛鳥〜奈良時代(7~8世紀)には日本で
 ガラスの原料が作られるようになりました。
 鉛ガラスが広まり、多くのガラス製品が使われていました。
 手の込んだガラスの器は輸入品です。



生活容器としてのガラス  Living container

・1549年、フランシスコ=ザビエルが来日した時、ガラス製品が伝わりました。
 このとき、ガラス工芸品こそが位の高い人にぴったりの贈り物だと認められ、
 海外との交渉が活発になり、
 びいどろやフラスコなどのガラス製品が普及することとなります。

ガラス製品の実用化 Practical realization

 元禄時代(1688〜1703年)の終わりになると、不況になりました。
 何とか不況を打破しようと商品の改良や新商品の開発が進められました。

 その後、1708年イタリア人宣教師、シドッチが屋久島に来ました。
 シドッチが来たことで、西洋文化を商品化しようと思いつきました。
 この思いつきからガラス製品の開発が進められ、
 ガラス容器やガラスレンズの利用、
 メガネの普及など実用的な利用法が広がり、
 これらの商品は、京都・江戸・長崎にまたたく間に広まりました。

時代ごとにみるガラスの変化 Change

 (1)宝永・正徳(1704〜1715年)
  小さく薄くて軽い、吹きガラスの製品が出回りました。
 (2)天明・寛政(1781〜1800年)
  型吹きガラスの大きな製品が登場しました。
  それから、模様を吹き込むことができる、
  宙吹きガラスが人気になりました。
 (3)文政(1818〜1829年)
  大坂の高級なガラスに対し、
  江戸では安いガラスの大量生産が始まりました。
 (4)嘉永・安政(1848〜1859年)
  薩摩藩でガラスの製造販売が始まりました。


ガラスの輸入と衰退 Import and decline

 江戸のガラスは、粗っぽいつくりにより、衰退期を迎えます。
 安政6年、横浜・函館・長崎の自由貿易開始により、人気がなくなりました。
 大坂のガラスも、薩摩藩のガラス製造販売開始や
 欧米からの輸入によって、大きな打撃を受けることになります。
 輸入された欧米のガラスは丈夫で壊れにくいものでしたが、
 それに比べると江戸のガラスは大変壊れやすいものなので、
 輸入されてきたガラスのほうが人気になるもの当然といえます。

ガラスの近代化 Modernization

(1)江戸ガラスから洋式ガラスへ
 明治時代になると、ガラスのくずが輸入されるようになりました。
 これによって、東京のガラス職人
 が安いガラスを製造するようになりました。
 一方政府では、ガラスの発展のためには、
 ガラス職人が作るのではなく、
 工場で作る方が良いと考えていました。
 機械を導入したり、外国の技術者を呼ぼうとしたところ、
 東京のガラスが人気になったのです。
 このとき、東京のガラス屋さんは
 親方が数人の弟子を持っているものでしたが、
 明治時代には小規模の企業になるほど発展したのでした。
(2)ガラス工場
 江戸時代は鉛分の多く、もろいガラス製品を作ってきました。
 しかし、欧米のガラスのくずが輸入されると、
 割れにくいソーダガラスを作るようになりました。
 明治20年頃に工場が作られましたが、
 日本ではじめて作られた品川のガラス工場は、
 明治25年には経営不振により幕を下ろしました。