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「先生、プラスチックといっても、たくさんの種類があるって本当?」
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| 「そうだよ。プラスチックは、今も進化を続けているんだ。」 |
| 「プラスチックはさらに高性能になってきているってこと?
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| 「うん。サエさん、チッくん、プラスチックで食品を包装するとき、何から守るのが一番大切で大変だと思う?」 |
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「うーん…カビとか細菌かな?」
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| 「そうだよね、カビないようにするのが一番じゃないの?」 |
| 「もちろん、カビや細菌などの微生物から食品を守らなければいけないんだけど、実は食品を劣化させるのはそれらだけじゃないんだ。なんだと思う?」
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| 「え?カビや細菌の他にって、なんだろう…。」
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「正解は、酸素と光なんだ。」
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| 「プラスチックって、気体も通すの?」
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| 「そう、プラスチックは光はもちろん、意外と気体も通すものなんだよ。」
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| 「えー!プラスチックが気体を通すなんて思わなかったよ。」
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「例えば、浮かぶゴム風船は1日もすると浮かばなくなってしまうよね。」
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「そういえばそうかも…。」
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| 「それは、風船の中に入っている軽い気体が、ゴムの膜を通って少しずつ外に出て、逆に空気がゴム風船の中に入っていくからなんだよ。」 |
| 「なるほど!そうだったんだ。」
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| 「つまり、食品を包装するときも、単純にプラスチックで密閉するだけでは、空気中の酸素がどんどん中に入ってきてしまうんだ。」 |
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「そっか、微生物はプラスチックを通ることができなくても、それだけじゃ酸素と光によって中身はどんどん劣化してしまうんだね。」
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| 「そうなんだ。だから、プラスチックの包装技術の進歩において主要なのは、酸素と光をどのように遮断するかということなんだ。」
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| 「でも先生、酸素を通しにくいプラスチックなんてあるの?」
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| 「あるんだよ。プラスチックの中でも、ポリビニルアルコール(PVAL)は酸素を通しにくいプラスチックなんだ。」 |
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「へぇー、プラスチックによって酸素の通りやすさが違うんだね。」
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| 「そうなんだ。でも、このPVALで作ったフィルムは弱くて、すぐに破れてしまうんだ。」
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| 「それじゃ、包装に使えないよね。」
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| 「そう、そこで多層フィルムの技術を使うんだ。」 |
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「多層フィルム?」
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| 「例えば、PVALを丈夫なプラスチックで両側から挟んだ三層フィルムは、PVALで酸素が通るのを防ぎながら、外側のフィルムが強度を保ってくれるんだ。」
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