ディスカッションをしよう
アレルギーについて深く理解し、うまく付き合うための方法を「自分で」考えるには、友達や先生と深く議論をするのが早道です。
このページでは、ディスカッションがしやすいように、ディスカッションシートとテーマ例、ディスカッションの会話例を掲載しています。
例の他にもアレルギーに関するテーマを設定し、複数人でディスカッションをして理解を深めましょう。
テーマ例
- アレルギーを持っている人が家に泊まりに来た時
- もしアレルギーの人がアレルゲンとの接触を望んだら
- アレルギーを持っている人への配慮の在り方について
- 幼児にアレルゲンとなり得る食べ物を与えることについて
- アレルギーを持っている人と同じ空間で過ごすときの配慮について
- アレルギーを持っている人とそうでない人で給食のメニューが変わることについて
- 外国人観光客へのアレルギー配慮について
ディスカッションシート
実際のディスカッションの例
ディスカッションの例を以下に掲載しています。参考にして、議論を深めてください。
テーマ①「アレルギーを持っている人が家に泊まりに来た時」
F 「それでは、アレルギーに関するディスカッションを始めたいと思います」
一同(拍手)
F 「今回のテーマは『アレルギーを持っている人が家に遊びに来た時の配慮』です」
I 「かなり限定的な状況の議論ですね……」
T 「まあ要するに『アレルギーを持っている人と同じ空間にいるときの配慮』ってテーマだから」
F 「アレルギー自体が色々あるから。経口摂取が条件だったり、飛沫だけでアウトだったり。そういうわけで際限ないので今回は条件を絞りました」
M 「なるほど、家にいるだけでも、動物アレルギーとかは症状が出ますからね」
I 「逆に食物アレルギーは程度はあれ、出す食べ物さえ気を付ければなんとかなると」
N 「まず遊びに行ったりする前に、自分と相手のアレルギーを確認することが必要ですかね」
T 「それだ。まず自他ともに何がアレルゲンか把握しないとっていう」
N 「何がダメかを知らないと、できる配慮もできなくなっちゃいます」
I 「家側の人間が相手のアレルギー症状について知る必要がありますね」
F 「症状の重度とか?」
I 「それもありますけど、何かあった時の連絡先や応急処置を知っておかないと」
F 「あーなるほど。確かにどうしようもなくなるね」
M 「今回私たちが調べたエピペンも、他者ができる応急処置の一つでしたね」
アナフィラキシーショックのページへ
保健室訪問レポートのページへ
T 「アナフィラキシーとか意識なくなるもんなぁ。事前に聞いておかないと」
M 「とにかく事前に情報交換をしようっていうのに限ります」
N 「でも動物アレルギーとかどうしようもなくないですか?」
F 「毛や唾液が飛んでるのもダメだもんね」
T 「いやそんなこともないよ」
F 「猫バカの T だ。でも空気中の飛沫はどうしようもないんじゃない?」
T 「うちの親戚が動物アレルギーだから、家来る時に猫を別の部屋に隔離して対処してるんよ。割とそれで症状は出ずに済むよ」
N 「それじゃあアレルゲンの食べ物は出さない、アレルゲンの動物は隔離するってことでいいですかね」
T 「猫が可哀そうってのはあるけどね。やむなし。」
F 「それじゃあ今回出た結論をまとめてみようか」
① 事前に必ずお互いのアレルギーについて把握しておく
② 出すのを避けたり隔離したりして、アレルゲンとアレルギーを持つ人の接触を避ける
T 「あ、一つ話したいこと思い出した」
F 「なにを」
ディスカッションはこれで終わりと思いきや、T君が何かを思い出したようです。ディスカッションはまだまだ続きそうです・・・
テーマ②「もしアレルギーの人がアレルゲンとの接触を望んだら」
T 「本人の自由意志でアレルゲンの動物に接触しようとしている時、飼い主は止めるべきなのかね」
I 「どうして突然それを」
T 「その親戚の子が猫好きでね。その場にいた両親の許可を貰って猫のいる部屋に入っていったのよ」
F 「その子どうなったの」
T 「症状は命に別状全然ないものだから全然大丈夫よ」
M 「一安心」
T 「ただ目元の腫れと鼻水が凄かった」
F 「うわぁ」
T 「どうするのが正しかったんだろうねぇ」
F 「止めるべきだったに一票だな。重大な症状になるかもしれないのに許可するのは危険極まりない」
T 「あ、あのね、その子は猫アレルギーなんだけど、いつも発症しても症状は軽いっていうことなんで」
M 「いつもの症状が重くないのなら許可してしまってもいいのではないかと思います」
N 「本人の意志ですし」
F 「確かにいつもの症状が軽ければ許可していいかもしれない。しかし、それだけではその子の健康を保障することにはならないと思う」
T 「と言いますと?」
F 「いざ重篤な症状が起こってしまったときのことを考えてよ。誰が責任を取るんだ」
M 「いざという時か…そうだ、さっきも話した、何か起こった時に対処できるかっていうのは?」
I 「親御さんの許可を貰ったって言ってたよ」
T 「うん、近くに両親がいたよ」
M 「何かあっても解決できた、と。なるほど。何か起きても対処できる人が周りにいるのか。それならいいのでは」
F 「うーん難しい問題」
N 「その子は喜んでたんですか?」
T 「症状出ても幸せそうだったね」
N 「楽しそうにしていたのですね。多分彼女にとって、その猫と遊ぶことはアレルギーの問題よりも重要なことなんです。」
M 「はっ…アレルギーよりも…大切なこと…」
I 「リスクを承知の上で猫に触っているってことだよね。それならいいんじゃないかな〜」
F 「なるほど、本人も本人の親御さんも、ちゃんと考えた上で判断を下しているのか…」
N 「一概に禁止するのも、彼女がかわいそうです」
I 「本人の好きなようにさせるって結論でいいんじゃないですかね」
T 「前提はいくつかあるけどな」
I 「前提?」
F 「あくまでも熟知した保護者の同伴、症状が軽いことが前提だ」
・・・・・・
T 「それでは、今の結論は」
軽い症状や知識人の同伴を前提として、本人の自由意志を尊重してもよい
F 「ということだね」
T 「ただ、その子が本当に軽い程度の症状だったからであって、間違っても普通のアレルギーで試してはいけないね」
M 「ほとんどのアレルギーは症状重いですから」
T 「知り合いにカレー食べてみたくて倒れた香辛料アレルギーの先輩とかいたわ」
F 「ロクでもねぇ」
M 「まぁ何にせよ慎重に行動するべきですね」
N 「健康に関わることですし」
F 「総じてアレルギーに接するときは様々な要因に気を付けよう!」
さて、後日のこと・・・
T 「そういえば前回来客について話したけど、その来客の前提が限定的過ぎると思うんよ」
F 「それじゃあ『来客』の設定を作りこんだうえでもう一回ディスカッションしてみるかい?」
N 「例えば?」
T 「国際的な色々に目を向けて、外国人って設定にしてみるか」
M 「それなら『家への来客』よりも『国への観光』という設定にしたほうが幅が広がりそうですね」
F 「それでは本日のディスカッションのテーマは、『外国人観光客がアレルギーを持っていた場合の対応』に決まりました」
テーマ③「外国人観光客へのアレルギー配慮について」
F 「それじゃあ各自調べ終わったところでディスカッションを始めましょう」
T 「まずはアレルギーに深くかかわるであろう、飲食店から始めるのが無難かと」
N 「食物関連のアレルギーは、比較的症状が重篤化しやすいですからね」
M 「それについては私とI君が調べました」
I 「まずは『食材ピクトグラムシール』というものについてです。メニューに貼ることで言語を介さず視覚的に、食材に含まれているアレルギー物質を伝えることが可能になります」
M 「アレルギーに限らず食材の有無を伝えるため、豚肉を始めとした宗教的に問題がある食材の問題を解決することにも繋がります」
F 「なるほど、店員さんに聞かないでも自分だけでアレルギー物質を避けることができるようになるのか」
M 「ピクトグラムシールにも関わる事で、『飲食店向け店頭シール』というものもあります」
I 「先ほどのピクトグラムシールや外国語版メニューの有無を伝えるために、店頭に貼るシールだそうです」
M 「こちらがそのシールの画像です http://www.city.taito.lg.jp/smph/index/bunka_kanko/anshikanko/siruhaihu.html」
T 「わ~お、なるほど聞いた通り一目でわかるデザイン」
N 「外国人観光客の方も、店頭にこのシールが貼ってあったら安心して入店することができますね」
I 「また、外国人への蕎麦アレルギーの配慮、という面白い話もあります」
F 「蕎麦アレルギーの配慮?」
I 「蕎麦をアレルギー食品と知らずに食べてしまう外国人観光客の方がいらっしゃるそうで」
M 「アレルギータトゥーチェッカーという大変興味深いものがあるのですが……説明が難しいので、ページを直接見せたほうが早いですかね」
https://hakuraidou.com/blog/67851/
F 「タトゥーとアレルギーチェックの融合とは、とても驚いた」
N 「これなら海外の方も、自らすすんでチェックを受けることができますね」
T 「発想の大勝利」
I 「あと、飲食店の外国人対応マニュアルに「アレルギーは大丈夫ですか?」という言葉の主要言語の翻訳があるという話も面白いですよ」
http://www.seiei.or.jp/tokyo/pdf/gaikokujin.pdf
・・・・・・
F 「それではそろそろディスカッションも終わりと致しましょう」
N 「改めて思い返すと、数え切れない程の対策がありましたね」
M 「一つ一つのアレルギー配慮から、アレルギーを持っている人への思いやりを感じます」
I 「『おもてなし』の国ってのも伊達じゃないですね」
T 「これらの学んだ事を糧にして、今度は僕らがアレルギー配慮を考えていく側になろう!」