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ジンバブエにおけるインフレ

2008年ごろ、ジンバブエは、年間インフレ率約2億3000万%という歴史上類をみないハイパーインフレに見舞われました。そのため100兆ジンバブエドル紙幣というものが実際に使われていました。

ジンバブエの位置

経緯

マネーサプライの増加

インフレとなった原因の一つとして、マネーサプライの増加が挙げられます。マネーサプライとは、通貨の供給量のことです。つまり、国内に流通している通貨量が著しく増えたことがインフレの原因となったのです。 ジンバブエは2~3年で、労働者からの賃上げ要求へ対応や選挙費用の捻出のために、通貨のジンバブエドルを過度にに発行してきました。そのため、物価が極端に上昇することとなりました。

ジンバブエ政府の政策

インフレとなったもう一つの原因として、当時のジンバブエ政府の政策も挙げられます。

農地の強制接収

ムガベ政権の間違ったと評される経済政策は多くありますが、その1つが2000~2001年に行われた、農地の強制接収です。それ以前のジンバブエでの農業では、白人が地主で黒人は農業労働者というような関係で成り立っていました。ムガベ政権は黒人を優遇するために、黒人たちが白人の地主から農地を「奪う」ことを合法化しました。このように、黒人が力ずくで白人から農地を奪うことを黙認したため、多くの白人の地主たちは国外に逃げてしまいました。黒人は土地だけ取り返したものの、農業のノウハウについてはあまり知りません。それ以来ジンバブエの農業生産性は大きく低下し、食料が不足したため、物価が極端に上昇することとなりました。

株式の強制譲渡

ジンバブエの議会を通過した外資系企業の株式強制譲渡法案も、経済をより混乱させ、インフレもより進行させました。この法案はジンバブエに進出している外国企業の株式の半分以上を、ジンバブエの黒人に強制的に譲渡しなくてはならないという内容のものでした。すると、外資系企業はビジネスができないので一斉にジンバブエから撤退しました。これで外国企業の存在がなくなり、ジンバブエの物資不足はさらに深刻化します。

製品の強制的な半額化

物資の不足、そしてインフレの進行を決定的にしたのが、価格統制令です。これはインフレ対策として政府が、「ほぼ全ての製品・サービスの価格を強制的に半額にする」というものでした。しかし、無理に半額で売らせても、企業(メーカー、小売店)は利益にならないため、赤字になり、そのまま倒産してしまいます。 多くの店が商品を売らずに倉庫に保管したままだったのですが、そのような商品の保管も違法として、違反した場合には逮捕することもありました。これでは、企業は製品を製造したり仕入れたりこともできません。結局、倒産企業が続発し、ジンバブエの経済はさらに混乱したため、インフレは歯止めが効かなくなってしまいました。

その後

2009年、デノミという政策が行われ、100兆ジンバブエドルのような高額な紙幣はなくなりました。さらに、それまで国の通貨だったジンバブエドルは、2015年に廃止されます。そして、米ドルと南アフリカのランドなどを流通通貨として導入し、ジンバブエの経済は以前よりかは安定することとなります。

ムガベ大統領の辞任

2017年11月ジンバブエ軍によるクーデターが起き、ムガベ大統領は辞任を表明しました。はじめは「最近の動きは、国の指導者であり、軍の最高司令官である私の立場を脅かすものではない」と言っていたものの、与党が罷免手続きを取り始めたことにより、自ら辞任を表明したと考えられています。

まとめ

ジンバブエは、年間インフレ率約2億3000万%というハイパーインフレに見舞われた
もともと市場に流通していた通貨が多すぎた上に様々な政策が重なり、ハイパーインフレが深刻化した
その後、デノミや外貨の導入により経済は安定した

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