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性感染症(STD)の感染者は近年増加傾向にあり、
10代の若い世代にも広がっています。
エイズも性感染症の1つで、STDに感染することで命を失う可能性もあるわけです。

何の抵抗もなく、欲求のままにセックスをする若者が多くなっているようですが、
よく考えてみてください。セックスというのは妊娠する可能性があるだけでなく、
STDに感染し、場合によっては、死に至る危険性もあるのです。
にもかかわらずSTD感染者が増えているのは、
正しい知識を持って行動していないからではないでしょうか。

STDについて正しく知り、予防方法を身につけ、
自分で判断し決めることのできる素敵な大人になってください。

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性感染症

 性感染症とは

 種類と特徴

 □予防

妊娠 避妊 男女のからだ

 

 

1 性感染症(STD)

 

 〜STDって何?〜

 STDとは「sexually transmitted diseases」の略で、日本語では「性感染症」といい、セックスや性的接触により感染する病気のことです。

 

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2 種類と特徴

 

(1)クラミジア感染症

 クラミジア感染症とは、クラミジア・トラコマチスという、ウイルスより大きく細菌より小さい病原体がセックスによって感染する病気です。近年、若い女性を中心に急増していて、現在,女性のSTD感染率の第一位を占めています。

 ●潜伏期間:1〜4週間

 ●症状

 女性の場合、自覚症状がないことが多く、あったとしてもおりものの増加、下腹部痛、排尿痛など軽い症状だけなので、気づかないうちに病気が進行し、内性器に炎症が起きます。そのまま放っておくと不妊症になる危険性があります。
 男性の場合は、排尿痛、尿道のかゆみなどを感じることがありますが、女性よりさらに症状が軽く、不妊症になることもあまりないため、女性ほど深刻に考えないことが多いようです。

 ●治療

 抗生物質を2週間程度服用すれば完治しますが、一度治ってもパートナーが感染していると再び感染する可能性があので、パートナーも受診するよう勧めるべきです。
 

(2)性器ヘルペス

 性器ヘルペスとは、単純ヘルペスウイルスというウイルスがセックスやオーラルセックス(口を使った性行為)などにより、感染する病気です。

 ●潜伏期間:2〜7日

 ●症状

 症状には、外部からのウイルスの初感染であらわれる「急性型」と、体内に住みついていたウイルスがからだの抵抗力が落ちたときに活動し発症する「再発型」があります。
 どちらも性器に米粒状の水泡ができて痛み、発熱することもあります。男女とも同じ症状ですが、女性に比べ、男性はこれらの症状が軽いことが多いです。また「急性型」より「再発型」の方が症状が軽くなります。

 ●治療

 激痛、発熱が続く場合には抗ウイルス剤の注射や内服、水泡には抗ウイルス剤の軟膏を塗ります。重症でも2〜4週間で症状は消えますが、一度感染するとウイルスが体内に住みついてしまいます。
 ウイルスは普段は感染させる能力はありませんが、からだの抵抗力が落ち、症状が出ると人にうつすようになります。一度感染した後は、再発する可能性のあることを忘れず、日常生活に気をつけなければなりません。

 

(3)尖圭コンジローム

 尖圭コンジロームとは、「とがって湿ったイボ」という意味で、ヒトパピローマウイルスというウイルスがセックスによって感染し発症します。

 ●潜伏期間:2〜3カ月

 ●症状

 女性は、性器や肛門のまわりに米粒状の先のとがったイボができ、ひどくなると「カリフラワー状」になりますが、痛みがないことが多いようです。
 男性も、ペニスの先に同じようなイボができます。

 ●治療

 イボを外科的な手術で取り除く方法と、軟膏を塗る方法があります。ヒトパピローマウイルスは、子宮がんや陰茎(ぺニス)がんに関係があることが分かっているため、完治するまでしっかり治療を続け、それまでセックスは禁止です。

 

(4)梅毒

 梅毒とは、梅毒トレポネーマという細菌によって感染する病気です。昭和20年代初期には、感染してから10年以上かけて死に至る恐ろしい病気とされていましたが、その後、ペニシリンなどの抗生物質が開発され、大幅に減少しました。
 梅毒は、セックス以外にもキスやペッティングなどでうつる時もあり、潜伏期間は3週間から3ヵ月と長いため、知らないうちに感染が広がる可能性もあります。

 ●症状

感染後の期間と症状により、4期に分けられます。
  • 第1期
 感染して約3週間後に、男女とも性器に小豆ぐらいの硬いしこりができます。このしこりに痛みはなく、約1ヵ月ほどで消えてしまいます。しかし病気が治ったわけではなく、病原体が全身に広がり、第2期に入ります。
  • 第2期
 感染して約3ヵ月後、発熱やだるさが起こり、全身や口の中に様々な発疹ができます。この症状はだいたい3年間出たり消えたりすることを繰り返します。
 第2期が最も感染力の強い時期です。
  • 第3期〜第4期
 感染して3〜10年後、心臓や脳が侵され、日常生活が困難な状態になり、最後には死亡します。

  ※最近では、第2期までにペニシリンなどの抗生物質で治療すれば2週間から1ヵ月で完治します。

 

(5)淋病

 淋病とは、淋菌という細菌によって感染し起こる病気で、昔から梅毒と並び性病の代表として知られています。感染経路は主にセックスですが、菌のついたタオルや浴場でうつることもあります。男性の方が女性より感染者が多く、症状も男性の方が重いのが特徴です。

 ●潜伏期間:2〜10日

 ●症状

 女性は、黄色い膿(うみ)のようなおりものが出る膣炎から、尿道にも感染し排尿痛や膿のまじった尿が出ることもあります。
 男性は、尿道にかゆみや痛みが起こり、尿にまじって白くにごった膿が出るようになります。放っておくと、尿道炎を起こし、排尿がしづらくなり、血尿が見られるようになります。

 ●治療

抗生物質を服用することで簡単に治ります。

 

(6)膣カンジダ症

 カンジダとは、もともと多くの女性の膣内にいるカビの一種で、膣カンジダ症とは、なんらかの原因で菌が増殖し起こる病気です。セックスによって感染することもあります。

 ●潜伏期:定められません。

 ●菌が増殖する原因

  • からだの抵抗力が落ちる。
  • 通気性のよくない下着などを着用する。
  • 抗生物質を服用する。 など

 ●症状

女性の場合、強いかゆみ、ヨーグルト状または酒かす状のおりものが出ます。
男性の場合、ペニスのかゆみや軽い排尿痛があるだけで、ほとんど感染に気づきません。

 ●治療

抗カンジダ剤を1〜2週間膣に挿入します。かゆみが強い時は、軟膏を塗ります。

 

(7)毛ジラミ症

 毛ジラミは吸血虫で、陰毛に寄生し、感染後すぐはげしいかゆみがあらわれます。

 ●感染経路

感染者とのセックス、衣類や寝具からもうつります。

 ●治療

  • 陰毛を剃り、軟膏を塗る。
  • 下着や寝具を清潔にする。

 

(8)膣トリコモナス症

 膣トリコモナス症とは、トリコモナスという原虫が、女性は膣、男性は尿道に寄生し起こる病気です。

 ●感染経路

主にセックスですが、トイレの便器や浴場などでもうつることがあります。

 ●潜伏期間:数日

 ●症状

 女性は、黄色みをおびた臭いのあるおりものが多くなり、性器のかゆみ、排尿痛があらわれます。そのままにして放っておくと卵管炎を起こし、不妊症になる可能性があります。
 男性にはほとんど症状がないので、知らない間に感染させる危険があります。

 ●治療

抗トリコモナス剤を約1週間服用し、場合によっては膣坐薬(膣の中に入れる錠剤)を約2週間使用します。

 

(9)エイズ

 エイズとは、Acquired immunodeficiency syndrome の略で、日本語では後天性免疫不全症候群といい、HIV(human immune virusの略、日本語ではヒト免疫不全ウイルス)の感染によって起こる病気です。

 エイズは、1981年にアメリカで新しく発見され、現在、世界でのHIV感染者数は3,340万人です(1998年末現在、UNAIDS/WHO報告による)。

日本では、1985年に初めて発見されて以来年々増え続け、1999年6月末には4,585人となっています(厚生省エイズ動向委員会発表資料による)。

 ●HIVの特徴

 人間のからだには、体内に入ってくる病原体を撃退する免疫力があります。HIVは、その免疫機能を支配するヘルパーT細胞というリンパ球の中に入り込み、細胞を壊し、増殖を繰り返します。
 さらに次々とヘルパーT細胞を壊していき、その結果、免疫機能がはたらかなくなってしまいます。

 ●感染経路

HIVは、感染者の血液、精液、膣分泌液に多く含まれているため、感染経路は次の3つに限られます。
1)セックス
2)血液による感染
3)母子感染
現在、異性間のセックスによる感染が最も多くなっています。

 ●病気の経過

 1)無症候性キャリア期

 HIVは潜伏期間が長いため、数年〜10年以上、何の症状もあらわれない期間が続きます。この期間を「無症候性キャリア(AC=a symptomatic carrier)」期といいます。
 この時期は、健康な人と同じように生活できますが、人に感染させる能力があるので、感染させないよう注意する必要があります。

 2)エイズ関連症候群(ARC)

 数年の長い潜伏期間の後、免疫力が低下し、リンパ腺の腫れ、発熱、下痢、体重減少などの症状が出てくるようになります。これらの症状をエイズ関連症候群(ARC=aids related complex)といいます。

 3)エイズ発病

 ARCがさらに進むと、健康な人には無害の病原体によって起こる病気にかかります。
 この病気を日和見感染症といいます。日和見感染症には、カリニ原虫によって起こるカリニ肺炎、カンジダというカビによって口内炎や食道炎が起こるカンジダ症、皮膚ガンの一種であるカポジ肉腫などがあります。
 これらの症状があらわれ病気が進行していくと、からだがどんどん弱まり、最後には死に至ります。

 ●エイズ検査

 HIVに感染しているかどうかは、血液検査で調べることができます。ただし、エイズ検査は感染してから約6〜8週間後でないと陽性(感染している)反応があらわれません。ですから検査を受けるのであれば、感染したと思う日から約3ヵ月後に行うようにした方がよいでしょう。
 エイズ検査は、保健所や病院で受けることができ、保健所などの公的機関ではとく名で受けることもできます。

 ●エイズを予防するために

 HIVに有効な薬は今のところ開発されていません。よって感染しないように予防することが大切です。
 HIVはとても弱いウイルスで,空気や熱の中では生きていけません。ですから日常生活でうつる心配はありません。前に述べたように感染経路は、1)セックス、2)血液による感染、3)母子感染の3つなので、予防するには(A)セックスと(B)血液の取り扱いに注意すればよいのです。

 (A)セックスするときにはコンドームを使う

 コンドームは「避妊」と「エイズ(STD)予防」のダブル効果があります。ただし、正しく使用しなければいけません。

  【コンドームの正しい使い方】

1.ペニスを膣に入れる前に装着する。
 
2.先端の精液をためる部分をつまみ空気を抜き、勃起したペニスにかぶせ根元までつける。
 
 
3.射精後はすぐに膣から出し、膣内でコンドームが外れて精子がもれたりしないように注意する。
 
 
4.コンドームは一度使用するともう使えないので捨てる。
 

 (B)血液の取り扱いについて

  • 他人の血液に触れないように注意する。
  • 覚せい剤に手を出さない。(注射のまわし打ちは危険)
  • 月経中のセックスはしない。

 ●エイズ患者とともに生きる

 あなたのまわりにエイズ患者あるいはHIV感染者がいたらどうしますか?普通の生活では感染しないと分かっていてもどうしても偏見の目で見てしまうのが現実ではないでしょうか?
 しかし、もしも自分がHIVに感染してしまったらどうですか?感染していないときと同じように見てほしい、接してほしいと願うはずです。
 エイズはもはや特別な病気ではなく、誰でもかかる可能性のある病気です。自分は大丈夫という考えはやめて,常に感染したときのことを考え、感染者も同じ人間なのだという気持ちを忘れないでください。

 

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3 STDの予防

 

 〜STDを予防するには〜

(1)セックスするときにはコンドームを使う。

 STDの主な感染経路はセックスです。よってセックスするときにコンドームを使うことでSTDを予防することができます。ただし、コンドームは正しく使用しないと確実に予防することはできません。(たとえ正しくコンドームを使用していても100%予防できるとは限りません。)

 【コンドームの正しい使い方】

1.ペニスを膣に入れる前に装着する。
 
2.先端の精液をためる部分をつまみ空気を抜き、勃起したペニスにかぶせ根元までつける。
 
 
3.射精後はすぐに膣から出し、膣内でコンドームが外れて精子がもれたりしないように注意する。
 
 
4.コンドームは一度使用するともう使えないので捨てる。
 

 オーラル・セックス(口を使った性行為)やアナル・セックス(肛門を使った性行為)も危険性の高い性行為です。これらをするときにもコンドームを使用すべきです。

 

(2)複数のセックス・パートナーを持たない。

 セックス・パートナーが多いほど、その中にSTD感染者がいる可能性が高くなります。なぜなら,自分が複数の人と付き合っているということは、相手も同じことをしていると考えられるし、それだけ病原体が持ち込まれる可能性が高くなるわけです。

 お互い信頼できる者同士が付き合っていれば他から病原体が入り込むことはありません。

 

(3)STDについての知識を持ち、早期発見・早期治療する。

 おりものの様子や性器などに異常があらわれたら、受診するようにします。病院へ行くのをためらう人も多いようですが、STDの中には、放っておくととりかえしのつかないことになるものもあります。思い切って受診するようにしましょう。(女性は産婦人科、男性は泌尿器科です。)

 また、相手も受診するべきです。一方が治っても相手が感染していれば、再びうつされることもあります。うつされた相手、うつした可能性のある相手を特定できるようにするためにも、1人の信頼できる相手と付き合うことが大切です。

 

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 □妊娠 □避妊 男女のからだ