森林破壊
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A1
文明が発生し、人類の活動領域が拡大していくにつれて、木材の使用量や開拓地の面積が増えたことによって、世界の森林が少なくなったことをいいます。
森林破壊は温帯の先進地帯からはじまり、近年は熱帯の開発途上国における急激な熱帯林の減少が問題になっています。
A2
@焼畑耕作が熱帯林減少の直接の原因の一番高い割合をしめています
焼畑耕作とは…
森林を焼き、残った灰を養分に耕作します。焼畑から発生する灰と炭素は一時的に土壌を豊かにしますが、数年耕作すると、土壌の養分は少なくなってしまいます。また、熱帯雨林気候の激しい雨に洗い流されたりして、土地は荒廃してしまいます。伝統的な焼畑農民に加え、人口が増加したことにより、新たに増えた住民による影響が大きいとされています。
焼畑耕作が熱帯林減少の直接の原因となる割合は全体で→45%
地域別でみると…
・熱帯アメリカでは、35%。過放牧がそれに次ぐ。
・熱帯アフリカでは、70%以上。
・熱帯アジアでは、49%。↑焼畑のために焼かれた熱帯林(地球環境キーワード事典)
A薪炭材の採取のしすぎ
開発途上国では熱量の多くを木材で依存しています。
未だに、世界のエネルギー源の約半分が依然として木材に依存しています。B森林以外の用途(放牧地・農地 など…)への転用
C不適切な商業伐採
こうした原因の背景には…
開発途上国における貧困、急激な人口増加などの問題があります。
Q3 森林の役割は?
A3
森林は、木材や工業原材料などの資源を生産し、人類の生活を支えていますが、他にも多様な機能があります。
@自然のダムの役割
例えば、よく発達した森林の表面の土は、落葉落枝などの有機物の蓄積や、それらを食べる土壌動物などの働きによって、隙間の多い土壌構造になっています。このような土壌は雨水をためて、土壌をうるおし、地下の帯水層に水を供給します。雨の時にもほとんど地表流は起きず、土地の浸食も少ないです。
このことは、山崩れ、土石流などの災害を防ぎます。このほかにも、下流の河川の流出を安定させます。A野生生物の生息地
広大な熱帯雨林は赤道沿いの多湿地帯に分布し、世界の生物種の半数あまりが生息しています。
B大気のろ過装置であり、浄化装置
大気中から二酸化炭素を取り込み、酸素を分離・再循環させ、あまった二酸化炭素を幹、葉、根、周囲の土壌に蓄積します。
また、森林の内部や周囲では、温度変化や強風が緩和され、森林の存在しない土地に比べて、より穏やかな気象条件が形成されます。
A4
@洪水・土砂崩れなどの災害
熱帯林が伐採されると、森林による雨の吸収・再生が行われなくなり、雨は濁流となって、地表面を走り、土壌や養分を近くの川に押し流します。
多様な森林が破壊されると、その回復には長い時間が必要で、荒廃の激しい土地などでは、回復が難しいこともあります。フィリピンやバングラデシュなどで近年多発している大規模な洪水の原因も森林の減少によるところが大きいです。
A多数の種の絶滅につながります
現状のままでは今後30年間で熱帯雨林に生息する種の5〜10%が絶滅すると予測されています。
日本でもイリオモテヤマネコやシマフクロウなどが絶滅の危機に瀕しています。
(未知の可能性を持つ遺伝子資源が地球上から永久にいなくなってしまうということを意味しています。)B地球温暖化を加速させている可能性があります。
森林破壊による炭素の放出量は約17〜20億トンと推定されており、これは化石燃料による放出量の30〜40%にあたるもので、温暖化への影響が考えらます。
その上、森林焼却により、さらに、何十億トンともの二酸化炭素が大気中に放出されれば、地球温暖化はさらにすすんでしまいます。
世界で熱帯雨林が減少しています…
A5
減少している熱帯林の保全と持続的な林業経営の確立をはかるため、色々なレベルで国際的な取り組みが進められています。
1985年には
FAO<国連食糧農業機関>は熱帯林行動計画を採択しました。
〜目的〜
熱帯林の適正な開発と保全を図るために、国別の計画策定・実施を支援すること。
1986年にはITTO<国際熱帯木材機関>(本部=横浜)
〜目的〜
生産国と消費国の双方の立場から熱帯林の保全に取り組むこと熱帯木材貿易の安定的拡大のみならず、生態系維持の観点を含む森林の保全・開発を推進するため、森林の管理・保育などに関するプロジェクトを実施するほか、西暦2000年を目標に、持続的管理が行われている森林から生産された木材のみを貿易の対象とするとの方向を打ちだしていました。
1992年6月には
開催された地球サミットで森林に関する初めての世界的合意である「森林原則声明」が採択されました。
前文で…
「森林問題は環境と開発のすべての問題に関連し、総合的に検討されるべきである。森林の多様な機能の保全、持続可能な開発が重要である。各国は、政府の適切なレベルでこの原則を追求すべきである」
日本は、これらの国際機関の活動に協力しているほか、これまで、東南アジア、大洋州、アフリカ、中南米の開発途上国を対象に森林管理や造林技術の開発などの協力事業を実施し、一定の成果をあげてきていますが、今後、より一層幅広いの貢献が求められています。
Q6 私たちにできることは?
@木材資源の有効利用
日本で利用させている木材の79.5%は輸入によるものです。
また、熱帯地域から輸出される広葉樹林丸太の39.2%を日本が輸入しています。
このことから、私たちは木材資源の有効利用を各方面で行っていく必要があります。例えば…
割り箸をできるだけ使わないようにしましょう。
月間4500万膳が日本のファーストフードレストランに輸出されています。これらはすべて使い捨てにされています。お弁当などについてくる割り箸もできるだけもらわないように心がけましょう。
A紙を無駄遣いしない
電車のお手洗いではトイレットペーパーを作るのに、使い終わった切符を再利用していました。このように、古紙のリサイクルの推進に協力していきましょう。
森林を少しでも伐採しないようにするには、古紙回収に協力すると同時に、再生紙を進んで、利用しましょう。リサイクルを推進することが重要ですが、その前に紙を無駄遣いしないことが一番効果があると思います。紙を大切に使うことを心がけましょう。