エイズ(後天性免疫不全症候群)―AIDS(Acquired Immune Deficiency Syndrome)―は、エイチアイブイ(人免疫不全ウィルス)―HIV(Human Immunodeficiency Virus)―というウィルスに感染することによって、免疫システムが働かなくなることで引き起こされる様々な病気のことです。
HIVに感染しても初期は症状がなく、他人にうつす可能性があります。
感染して数ヶ月から数年→エイズの初期症状(発熱、下痢、発疹、リンパ腺の腫れ、頭痛、咳、体重減少)の出始め→エイズが発病→体を守る血液中の白血球減少→日和見感染症・日和見悪性腫瘍・脳神経障害など→死にいたる
HIVは、(1)で紹介した免疫システムを破壊します。抗体を作ることができなくなり、感染してしまったら治すことが今のところ不可能なのです。→エイズ免疫機構破壊の仕組み
現在世界では約4200万人ものエイズ患者とHIV感染者がいると言われています。特に多いのはサハラ以南アフリカ(2940万人)、ついで南・南東アジア(600万人)、ラテンアメリカ(150万人)そして近年はヨーロッパや中央・東アジア、太平洋沿岸諸国そして日本にもどんどん広まってきていて、いまや地球規模で大きな脅威となっています。
エイズという病気は、基本的には体液(血液、精液、膣分泌液、母乳など)を通してうつるものです。つまり、『輸血』、『性行為』、『母乳』によって感染する可能性が高いのです。だ液なども感染の原因とも考えられますが、だ液で感染するには一度に3リットルほどのだ液が必要なのであまり原因となることはありません。
この中で特に危険なのは血液を通すもの(輸血、血液製剤、注射針の共用)で、90%の確率で感染すると言われています。
性行為は確率としては0.1%から1%しかありませんが、エイズに感染した割合の70%から80%が性行為です。また、母親がHIV感染者である場合、経胎盤感染・産道感染・母乳感染が起こる可能性が30%あり、特に途上国での割合は高いと言われています。
発展途上国で多くの感染者がでています。母親が感染していたことで子供が感染するということも多々あります。→なぜ発展途上国で感染者が多いのか??
そして正しい認識を持たない人がいるために、エイズ患者への偏見や差別があります。
エイズは治療法が確立されていないので、まずは感染を避けることが大切です。また、HIVウィルスに感染してからエイズを発症するまでに延命措置をすることは可能です。
*献血時のHIV抗体検査…献血をする時に血液検査を行い、その血液に異常がないか調べます。ただし、HIVの抗体は感染してから6〜8週間後にならないとできないので、正しい結果を得ることができません。
*加熱製剤の使用…昔は、血友病患者に用いる血液製剤によって感染することが多かったのですが、これは非加熱製剤を使っていたからで、HIVは熱や消毒薬に弱いので加熱製剤を使うことが日本では義務付けられています。
*抗エイズ剤という、HIVの増殖を抑えて発病までの期間を長くするもので延命措置を図ります。
*UNIDS(国連共同エイズ計画)という国連機関に連動して、世界各地の様々な団体でレッドリボン運動というものが行われています。
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