現在、2種類のトイレと利用者の利用方法が大きな問題解決への糸口としてあげられている。
仕組み/利点/欠点/改善策
仕組み/利点/欠点/改善策
利用者の心がけによる改善方法
解決の糸口の3つ目は、利用者の心がけだ。これまで、外国の山々で実施されている、利用者の糞尿の持ち帰り(携帯トイレの持参)を強制するどの手段が考えられてきたが、登山客・観光客の数が減ってしまうということへの配慮から、次のことを利用者に心がけるように呼びかけている。
1.水解性ティッシュペーパーを利用しよう
水解性ティッシュペーパーとは読んで字のごとしですが水にとけるティッシュペーパーの事だ。バイオトイレの実用化が進められているといえども、富士山にあるトイレのほとんどが放 流式である。放流式トイレで問題となっているのが、ティッシュによる白い川。このティッシュペーパーは、普通のティッシュよりも繊維がほどけやすくなっているため、放流式のトイ レの場合でも、山肌に白いティッシュの川ができずに済む。このティッシュを利用者に使ってもらおうと、山小屋・登山口では、登山客に配っている。
2.便槽の中に、ゴミを捨てない
放流式の場合、便層にゴミを捨てるというのは山にゴミを捨てるということと同じ事。次の項目で述べるが、ゴミも富士山の抱える立派な環境問題の一つだ。それだけでなく、富士山内によく見かける簡易処理式トイレ(微生物により自然分解したあとの場合、汚泥は回収もしくは放出する形式のもの)便槽内に、ティッシュを捨てるだけでも、うまくトイレが機能しなくなるなどの性質を持つので、注意しなくてはならないのです。
3.チップは払うようにしましょう
上で書いたことを受けて、富士山では、チップの協力を呼びかけている。
2種類のトイレとは…
新型トイレの普及
上で紹介した2種類のトイレは、現在改良が重ねられ実用段階まで達した。
しかし、富士山にあるトイレは国で運営している公衆トイレ・個人で設置している山小屋トイレがあり、その多くが山小屋で個人が所有するトイレであるために、トイレの改修工事がなかなか進まない。ただでさえ高い新型トイレの改修工事代は富士山の厳しい環境条件へ設備を持ち運びする設備運搬費を含めて総額2000万円程度にもなり、かつ修理費などを含めるとしめて3000万円程度にも達する。そのため、行政が改修工事費用を負担する公衆トイレの場合は問題はないが、個人で改修工事代を負担しなくてはならない一般の山小屋の場合、改修工事費の負担は大きく、新型トイレの普及はなかなか用意には進まない。
この問題を解決するために、環境省では環境税のほかに「環境保全施設整備費補助事業」という制度を設けて、新型トイレの普及を促している。
静岡県でこの制度を受けると新型トイレ設置に際する改修工事の費用の、半分を国が、20%を県が、もう20%を市町村が負担し、残りの10%しか自分で負担する必要が無くなる。また、静岡県側では2004年度末までに、静岡県側の富士山中のトイレの全てが新型トイレになると見込んでいる。
一方、山梨県では、静岡県に比べ、富士山に入ってくる登山・観光者の人数が多く、トイレ数を多く必要とし、挙句の果てには静岡県側には存在する市町村からの補助金はないために、全トイレの新型トイレへの適用は2005年になると考えられている。
また、新型トイレ設置にかかった費用の埋め合わせのために、最近ではチップ制のトイレもあり、チップの協力を呼びかけている。しかし、2割ほどの登山・観光客しかチップ募金には協力しないのが現状である。