一般にスパイスとは、飲食物の風味付けをするために副材料として用いる芳香性植物の一部で、嗜好的な@香りA辛味B色を持っているものの総称とされています。そのため世界で350種類あまりあるスパイスも、含有する成分によりその3つの効用に分類されます。ここでは、3つの種類別にスパイスを紹介しようと思います。
香りを構成するスパイス
《クローブ》
《クミン》
《シナモン》
辛味をつけるスパイス
《ペパー(胡椒)》
《レッドペパー(唐辛子)》
《ジンジャー(生姜)》
色を構成するスパイス
《パプリカ(甘唐辛子)》
《サフラン》
《ターメリック》


クローブ

【利用部位】
つぼみ
【特徴】
花のつぼみが開花する直前、淡いピンク色になったところを摘み取ったスパイスです。長さ1.5cmの釘型をしていて、刺激的な中にも、バニラにも似た甘い香りがします。その強い香りは、百里離れたところにも届くというところから、「百里香」という別名があります。野菜の煮込み料理には、ホールを材料に刺して使ったり、肉の臭みを抑えたりするのによく使われます。香りが強いので、ごく少量使います。
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クミン

【利用部位】
種子
【特徴】
独特な強い香りと、ピリッとした辛味、わずかな苦みがあります。いわゆるカレーの香りは、クミンの香りが中心となり、カレーを代表するスパイスのひとつです。ホールは、油で炒めて香りを出して使います。カレーのほか、ピクルスやチーズ、パンなどにも使われます。カレー粉や、カレーの味わいを深めるガラムマサラとチャツネには欠かせないスパイスです。また、クミンは下痢や腹痛に効き、消化の促進や解毒の作用があるといわれます。
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シナモン

【利用部位】
樹皮
【特徴】
樹齢3〜5年の若木の枝から樹皮をはぎ取って束にし、24時間おいて発酵させ、外側の層をていねいに削ったものを乾燥させます。かすかな辛味と甘味があり、爽快感のある甘い香りに人気があります。甘味を引き立てるので、カレーにもよく使われます。ホールを油でよく炒め、香りが出たところでほかの材料を加えます。そのほか、ホールは果実のコンポートやピクルスに、パウダーは焼き菓子、ジャムやアイスクリームなどにも使われます。シナモンにグラニュー糖を混ぜたシナモンシュガーもあります。
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ペパー(胡椒)

【利用部位】
果実
【特徴】
ブラックペパーは未熟な果実を摘んで果皮をつけたまま乾燥させたもの、ホワイトペパーは赤く熟し
た実を摘み、皮をむいて乾燥させたものです。
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レッドペパー(唐辛子)

【利用部位】
果実
【特徴】
唐辛子はたいへん多くの種類があります。唐辛子にはカプサイシンという辛味成分が含まれており、エネルギー代謝を促進し、ダイエットにも効果があるといわれます。
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ジンジャー(生姜)

【利用部位】
根茎
【特徴】
清涼感のある甘味を持った香りと独特な辛味で、日本でも古くから親しまれているスパイスです。生の根を刻んだり、すりおろしたりして使うのはよく知られていますが、根茎を乾燥させて粉末にしたものも便利です。肉や魚の臭み消しになり、甘味のある特有の風味でお菓子にも使われます。食欲を増進させ、胃腸の働きと血行をよくするといわれます。
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パプリカ(甘唐辛子)

【利用部位】
果実
【特徴】
唐辛子を品種改良して辛味をなくしたものです。味はほのかに甘酸っぱさを感じる程度で香りも穏やかですが、鮮やかな赤色が料理を華やかに彩ります。パプリカを使った料理でもっとも有名なのは、ハンガリーのグーラッシュという牛肉の料理です。パプリカの果実には、柑橘類よりもたくさんのビタミンCが含まれています。これをハンガリ−生まれのスザント・ゲオルギー博士が発見した業績により、さらにビタミンCをほかの成分から分離することに成功し、1937年にノーベル賞を受賞しました。ビタミンCはかぜやストレスに対する抵抗力をつけるビタミンです。そのほか、酸化防止ビタミンのEも含みます。
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サフラン

【利用部位】
めしべの柱頭
【特徴】
長さ3cmほどの赤褐色の糸状のものなので、独特の香りとかすかな苦みがあります。サフランに含まれるクロシンという色素成分により、水に浸すと鮮やかな黄金色が抽出されます。サフランは、花が咲いたらすぐにめしべを摘み取ります。1輪から3本しかとれず、1gのサフランを得るには150輪以上の花が必要といわれる、たいへん高価なスパイスです。南欧料理のブイヤベースや、スペインのパエリヤなど、魚貝料理や米料理の色づけと香り付けに使われます。また少量で鮮やかな色がつくので、スープやお菓子の色づけにも利用されます。サフランは体を温める作用を持つといわれ、冷え性にも効果的です。
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ターメリック

【利用部位】
根茎
【特徴】
根、茎はたいへんかたいので、ほとんどパウダー状にして使います。独特の風味がありますが、主に料理を黄色く仕上げるための着色料として使われます。インドでは、カレーを始め、さまざまな料理に利用されており、日本でもたくあんの着色に使われています。牛肉や鶏肉、魚貝、米、野菜、豆類など、いろいろな材料と相性のよいスパイスで、ケーキやクッキー、マスタード、清涼飲料水の着色にも用いられています。中国では漢方薬として知られており、体の調子を整えるといわれます。
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