台風とは(中級) ‐高潮‐
高潮
「高潮」とは、台風や強い低気圧に伴って海水面が異常に高くなる現象です。台風で多くの人命が失われる場合のほとんどは、高潮を伴ったときです。1959年9月の伊勢湾台風では全国で死者・行方不明者5098人を出し、そのうちの7割は伊勢湾の高潮によるものでした。
高潮のしくみ
台風の強い風が海岸に向かって吹く場合、海水が海岸に吹き寄せられて海面が上昇します。海面の高さは風速の2乗に比例して高くなるので、風速が2倍になると、海面の高さは4倍になります。また、特にV字形の湾の場合は奥ほど狭まる地形が海面を一層高くさせるので、湾の奥ではさらに海面が高くなります。これを「吹き寄せ効果」といいます。さらに、台風が接近して気圧が低くなると海面が持ち上がります。これを「吸い上げ効果」といい、気圧が1hPa低くなると海面がおよそ1cm高くなるといわれます。例えば、それまで1000hPaの場所へ950hPaの台風が来ると、海面は50cm高くなります。したがって、気圧の低い、強い台風が接近し、強い風が湾の奥に向かって吹けば吹くほど、大きな高潮が起こります。
