☆惑星へのエレベータ
●各惑星の静止軌道
宇宙エレベータを利用して他の惑星まで旅行する時代のことを想像すると、旅行先の惑星にも同じような宇宙エレベータがあると便利になるだろう。
宇宙エレベータは、赤道から静止してみえる静止軌道を基準にして建造されるので、ある惑星にそれが建造可能かどうかは、その惑星にとっての静止軌道がほとんどの高度にあるかどうかにかかっている。
そもそも、静止軌道は、その惑星の質量が大きいほど高く、自転の周期が大きいほど高いところにある。逆に言えば、軽くて速く自転する惑星ほど、その静止軌道は低いところにあるのである。
下の表は各惑星における静止軌道の高さである。
惑星名 |
静止軌道の高さ |
太陽 |
2460万3000q |
水星 |
24万1000q |
金星 |
153万3000q |
地球 |
3万6000q |
月 (*) |
8万7000q |
火星 |
1万7000q |
木星 |
8万5000q |
土星 |
4万7000q |
天王星 |
5万7000q |
海王星 |
5万8000q |
冥王星 (*) |
1万8000q |
(*)・・月は地球の衛星、冥王星は準惑星
だから参考値である
地球に近い惑星は金星と火星であるが、金星は桁外れに高い位置に静止軌道があることがわかる。これは、太陽の重力の影響を強く受けて自転がとてもゆっくりしているからである。
一方、火星のほうは、好都合にも、地球よりもずっと低い位置に軌道がある。その理由は、自転が地球の10.7%しかないからである。赤道半径も半分程度で、密度70%に過ぎない。
近隣で親しみのある火星が、地球以外で宇宙エレベータを建設できるしかも、地球よりもずっと小規模で工事も楽なエレベーターを建設できるもっとも有力な候補地ということになる。
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