契約
「契約」とは二者以上の契約当事者による、債権が発生する合意のことです。すなわち、契約を結ぶことで何らかの義務・権利が発生し、互いの義務・権利に関して法的拘束力を持ちます。契約は単なる約束とは異なり、民法などの法律で契約の内容・種類に沿った規定が定められているため法的拘束力があるとされます。 つまり、当事者の一方が契約で定められた内容を守らない場合、もう一方の当事者は権利によって相手を従わせ「契約を守る」という義務を負わせることができます。
法令との比較
それぞれの定義は以下の通りです。
法令(法律)
「法令」とは、国が定めたルールと言える「法律」や法律に基づき内閣が制定する「政令」、地方自治体が定める「条例」などを総括した呼び方です。法令で定められた内容は全国民に適用されるため、誰もが法において規定された義務・権利を有することになります。つまり、法令は万人共通のルールと言えます。
契約
前述した法令に対し、契約は当事者間の約束にすぎないため、適用されるのは万人ではなく限られた者のみとなります。
法令との相違点
契約は基本的に法令(法律)に沿った内容で取り交わされるものの、あくまで当事者の自由に任せ国家はこれにできる限り干渉してはならないという「契約自由の原則」に基づいています。つまり、契約の内容は当事者間で自由に取り決めることが認められています。
また、多くの場合では契約内容は法令よりも優先される傾向にあるため、法令とは異なる独自の約束を取り交わしたい際に契約を結ぶことになります。
しかし、一部の法令の規定には契約の当事者の意思に関わりなく適用される「強行法規(強行規定)」が存在します。強行法規は、労働者や借家人などの立場が弱い人々を守るための法律(労働基準法・借地借家法など)に関する内容であればどのような条件の契約に対しても適用され、契約よりも法令が常に優先されます。
例えば、会社側が不当に安い賃金で労働させられるような契約を交わした場合、労働基準法の規定に反するため、強制法規が適用されます。
つまり、契約の法的拘束力は契約の内容によって変わると言えます。
契約する際の注意点
契約を交わす際は「契約書を交わす」ことのみを目的としている事例が多く存在します。しかし、契約書は業務内容などについての取り決めが明記されているため、契約書の内容を当事者が把握していなかった場合トラブルを引き起こす可能性があります。よって、契約の当事者は契約書を読むことを煩わしいと感じても、企業側・労働者側の双方が契約書を交わす前に内容を確認することが重要です。契約内容は契約書の「本文の条項」という箇所に記載されています。
また、全ての条件を鵜呑みにするのではなく、受け入れがたい条件などがある場合は相手側に申し出て検討を重ねてもらうことも、契約上のトラブルを避けることにつながります。
「契約」とは二者以上の契約当事者による、債権が発生する合意のことを指す。
法令は万人が共通して守らなくてはならないルールのこと。
契約内容は法令よりも優先される傾向にあるが、契約よりも法令が常に優先される「強行法規(強行規定)」も存在する。