大学見学レポート
2019年10月26日、私たちは東京都町田市にある玉川大学農学部にお邪魔させていただきました。急なお願いにもかかわらず、快く引き受けてくださり大変感謝しております。
ミツバチやマルハナバチの巣箱を見せていただいたり、ミツバチについての話もたくさん聞かせて頂いたりと非常に充実した時間となりました。
案内とミツバチについての説明をして頂いたのは、玉川大学農学部教授、兼ミツバチ科学研究施設研究員の佐々木 謙(ささき けん)教授です。
(玉川大学での写真ではありませんが)写真右がスズメバチ、左がミツバチです。大きさの違いがよくわかります。
巣箱へGO
まずは大学の構内で飼われているセイヨウミツバチの巣箱に案内していただきました。私は、ミツバチについて本で読んだり動画を見たりして、ずっと本物を見てみたいと思っていました。しかし実際にミツバチの巣箱に近づくと、ミツバチが沢山飛んでおり刺されそうでひやひやしました。他のメンバーは大丈夫かと思って見てみると、ちょっと後ろに避難(?)していました……。
ミツバチは性格が穏やかで悪いことをしなければ刺さないとはわかっていたのですが、羽音が大きかったのと巣箱に近づいたら巣箱から出てくる働きバチの数が増えたように思え、メンバー全員足がすくんでしまいました。私はうっかり黒い服を着ていってしまったのを後悔しました。黒色が警戒されて刺されそうな気がしたのです。なお、思っていたよりもミツバチは小さかったです。
ある巣箱は地面に大量のミツバチの死体が落ちていました。スズメバチにやられたものと考えられます。しかし、さすがは佐々木教授。どこから飛んでくるかわからないスズメバチも、周りに飛んでいるミツバチも、(ハチに縮み上がっている私たちのことも)全く気にしない様子で慣れた手つきで死んだミツバチを掃除し、さっそく解説してくださいました。
SAY!YO!ミツバチ
ここで飼育されているものは全てセイヨウミツバチで、元々アメリカから輸入されたものだそうです。秋はスズメバチの季節で放っておくと巣箱が全滅させられます。スズメバチ対策として、巣の入り口に小さな柵を取り付けることで、巣の中にスズメバチが入れないようにされていました。
しかし、ミツバチがたくさん殺された群もありました。そこでは、巣の外で待ち伏せをされていたようです。
他には、巣箱の上にネズミ捕り用の粘着シートが置いてありました。そこにスズメバチを一匹くっつけて置いておくと他のスズメバチが引っかかりやすくなるそうです。実際、かなりの数のスズメバチが引っかかっていました。
巣箱が置いてある近くの小屋にお邪魔させていただくと、そこは巣で動いているミツバチを研究するための部屋でした。驚いたのは中にガラスケースの中に入ったミツバチの巣板があったことです。
ガラスケースは保温のためか発泡スチロールで覆われているのですが、それを外すといつでも中のミツバチの様子が見られるようになっています。蜜の場所を教えるダンスなどの、ミツバチの巣の中での行動の研究に使われているそうです。巣の中にはアピスタンというダニ駆除剤が入れられていました。ダニ駆除はダニが繁殖してきたと思ったら入れるのが良いそうです。使いすぎると逆効果となります。
ガラスケースの中のハチは、刺される心配がないので安心してゆっくり見ていられました。一匹一匹違う動きをしており面白かったです。暗い野生の巣の中と違い、部屋の中は明るいのですがミツバチはあまり気にしないそうです。もともと住んでいた暑い地域では壁がない巣を作っていたので、当然かもしれませんね。
部屋の奥には、温度を一定に保ってさなぎを羽化させることができる機械もありました。ミツバチの生態が羽化してからどのように仕事が変わっていくのかを調べるときなどに使うそうです。
雄バチを実験で使うときに雄バチの大きさの巣房を人工的に作り巣の中に入れて、さなぎになるまで待つそうです。さなぎになったらその機械の中に入れて羽化させます。羽化した雄バチにはミツバチヘキイタダニが寄生していることがあるのですが、実験のために雄バチにマーカーで色を付けるとその匂いが苦手なのか雄バチから離れるそうです。全く新しいミツバチヘキイタダニ駆除方法でした。
真面目な研究シーン2
次は完全に一つ一つの箱の中で飼育されているマルハナバチを見せていただきました。マルハナバチは女王バチを中心としたちょっとしたコロニーを作ります。住まいの部屋とえさ(砂糖水のようなもの)が置いてある運動場に分かれていました。巣のマルハナバチが外に全く出ることなく生活ができるような環境が整えられているのです。巣箱からは甘い匂いがしていました。
マルハナバチにも別れを告げると、高価そうな機械が並んでいる研究室をのぞかせていただきました。ミツバチに関する研究にも、そうでない研究にも使われているそうです。
ヨーグルトに入れるのは本当におすすめ
そして、なんと大学で採れたはちみつをお土産にいただきました!
様々な花の蜜が混ざった百花蜜です。
どんな食べ方が良いか伺ったところ、まずはスプーンにすくってそのまま食べてみるのがオススメとのことでした。家に帰ってからさっそくいただきましたがとにかく美味しかったです。
また、最後にはたくさんの質問をさせていただきました。お忙しい中、なんと一時間半以上にも及ぶ質問に付き合っていただきました(質問しすぎました……)。
そこで伺った話の中で特に「化学農薬と有機農薬を少しずつ使う」という考え方は自分には全くなく、感動しました。自然は一つの力で強引に押されるとやられてしまいますが、いくつかの力に分散すれば復元力で元に戻ることができるのです。
どちらかだけに偏ると不都合なことが起こります。バランスを取ることが大事なのです。
このサイトは、佐々木教授のお話を参考にして制作した箇所が多々あります。親切にたくさんのことを教えていただき、本当にありがとうございました!この場を借りて、深くお礼を申し上げます。
後日談
メンバーの一人が作った蜜蝋キャンドル。これで巣板約1枚分の蜜蝋が使われています。
2019年11月9日、玉川大学で文化祭が行われるとの話を聞きまたお邪魔してきました!
今回のお目当ては、農学部で行われる蜜蝋キャンドル作り体験です。蜜蝋とは、ミツバチが作り出したろうから出来ている巣板を取り出し、溶かして精製したものです。蜜蝋は昔からろうそくに使われていました。最近は化粧品にも使われています。
蜜蝋キャンドルの作り方
1.蜜蝋を溶かして液状になったものを容器の中(紙コップが使われていました)をかき混ぜて冷まします
2.手で持てる熱さになったら容器から取り出し、好きな形をつくります
3.形が完成したら中央に穴をあけ、糸を通します
4.液体の蜜蝋にさっともう一度通して表面をきれいにすれば完成です
玉川大学の皆様、ご協力ありがとうございました!